末益薫=14位
<予選リーグC組 4位>
末益1-4柳絮飛(香港)
末益0-4范瑛(中国)
末益1-4田恵敬(韓国)
<9~15位決定戦1回戦>
末益1-4陸雲鳳(チャイニーズ・タイペイ)
<13~15位決定戦>
末益 不戦勝 桑亜嬋(香港)
<13、14位決定戦>
末益0-4辛秀禧(韓国)
末益薫の顔つきは、日に日に精悍さを増していったように思う。
アジアカップへの出場を告げられたのは大会の約1ヵ月前だった。地元出身の推薦選手としてではあるが、初めての国際大会である。うれしくないはずがない。その半面、1年生とはいえ、所属する淑徳大学でもまだレギュラーの座はもぎとっていない自分が出ていいのかという思いも抜けきらなかった。
日本代表のオフィシャルサプライヤーであるミズノの担当者は、日の丸のついたウェアを支給するために、サイズや送り先を聞いたところ、「わざわざすみません」「申しわけございません」と「謝罪」の言葉が何度も返ってきたという。
1セットすら取れないのではないかという不安と、思い切ってやるしかないという開き直りの気持ちとを抱えて臨んだ初日、彼女は4試合を戦い、3つのセットを奪った。このクラスでは技術的にやや見劣りするのは否めない。表ソフトといえども「ひじから先」の小ぶりなスイングでは太刀打ちできない。しかし、手も足も出ないわけではないことがわかったという。
翌日の辛秀禧との試合には「熱」がこもっていた。とりあえず入れる、ひとまず止めるという卓球から決別し、ツッツキをガツンと切り、強打をプッシュで押し返し、積極的にカウンターを狙っていった。1セットを取りにいくだけなら、ほかにも戦い方はあったように思う。だが彼女は、国際大会で勝つためには何をすべきかを、1本1本、身体にしみ込ませているように見えた。そして、勝てなかったことを悔しがるようになっていた。
日の丸のついたウェアには、人を育てる力が宿っているのかもしれない。
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