決勝戦。今度はヒンギスが手も足も出ず
復活?を狙うヒンギスと、ティア?大会初優勝を狙うディメンティエワの対戦は、絶好調のディメンティエワがヒンギスを圧倒。6-2、6-0という一方的な試合で優勝を決めた。この日のディメンティエワは、普段とは全くの別人のようだった。テニスファンであれば周知のことであろうが、ディメンティエワはサーブという大きな弱点をもっている。
セカンドサーブはスライス。それも明らかに肘が伸びきらずボールのサイドを擦るようなスライスサーブを打つ。しかも、ダブルフォルトが多いときている。ディメンティエワはストロークだけでトップ10に上り詰めたと言われるほどである。
弱点はサーブ、最大の武器はストローク。というのがディメンティエワの一般的な評価だ。
この決勝戦のディメンティエワはまるで別人を見ているかのようだった。ゲーム開始直後はダブルフォルトを2本犯し、早々にヒンギスにブレイクを許したときは、前日のシャラポワ戦が脳裏によぎりヒンギスの復活Vはこれで決まりではないかと誰もが思ったであろう。
が、しかし、ここからのディメンティエワが凄かった。何かが吹っ切れたのか、フラット気味のハードヒットがヒンギスコートに突き刺さる。しかも、圧巻はサーブ。なんとセカンドサーブですらフラットサーブを打ち、ときにセカンドサーブの方がスピードが速いということすらあったのだ。最大の弱点とされたサーブが絶好調で、ヒンギスがサーブの勢いにおされリターンが甘くなると、ディメンティエワの容赦ないハードヒットがヒンギスを襲う。
まったく主導権が握れないヒンギスはサービスゲームではダブルフォルトを連発し、普段では有り得ない簡単なボレーすらミスしてしまう。それでも何とか流れを止めようと自分のサービスゲームでは第1セット後半から果敢にサービスダッシュを繰り返すも、好調のディメンティエワには全く通じず弾道の低いフラット系のボールがヒンギスに襲いかかった。
しかも、驚いたのはヒンギスのお株を奪うかのごとき前後の揺さぶりだ。ドロップショットを放ち、ヒンギスを前に誘き出すと、ハードヒットと見せかけてロブ。ヒンギスは一歩も動けずボールの弾道を目で追うことしかできない。ベースラインの内側に落ちるボールはまるでヒンギスをあざ笑うかのようで、ヒンギスの顔から闘志が消えていく。
まさに第2セットはディメンティエワに完敗だった。ここまで手も足もでないヒンギスは引退前でも見たことがなかった。それほどまでに決勝戦のディメンティエワは完璧だった。そして、強かった。