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東レPPO閉幕。ヒンギスがシャラポワを下す!(4ページ目)

オーストラリアから東京へ。女子のトップ選手がこぞって参加する東レPPO。ディメンティエワの優勝で閉幕したが、復帰間もないヒンギスがシャラポワを下し、大会を大いに盛り上げた大会をプレイバック。

執筆者:伊藤 一幸

ヒンギスの明暗

前日までのヒンギスの見事なまでに巧みなテニスが鳴りを潜めた。いや、テニスが一変した。

ディメンティエワの予想に反したテニスの出来に精神的なバランスを崩してしまったのかもしれないが、シャラポワ戦のときのヒンギスとはあきらかに別人のようであった。

たった一日でこれほどまでにテニスが変わってしまうところにテニスが繊細なスポーツであることの元女王が身をもって証明したのではないだろうか。

メディアはこぞって、ヒンギスが復活Vを逃したことを書きたてた。しかし、グランドスラムに次ぐレベルの大会で、現役復帰後わずか1ヵ月足らずで決勝まで勝ち残ったという事実に対して「見事な復活劇」だと称えてもいいのではないかと思ってもしまう。

遠くない将来、ヒンギス復活Vというニュースが飛び込んでくる日のことを心待ちにしたい。

ヒンギスのテニスはライトにあらず?

2003年に引退する前、S・グラフがヒンギスのテニスを「right」と形容したことがある。

さらりとこなすテニス。きっちり構えて打ち込むというよりは相手のパワーを利用して最小限の動きと力で試合を組み立てるというプレイスタイルを称して「right」という言葉を用いていた。復帰後のヒンギスのプレーを見て少し驚いた。さらりとこなす上手さはあるが、パワーとスピードに対抗するためかプレイスタイルに変化が見られたからだ。

以前のヒンギスには見られなかった多少の「heavy」さだ。もちろん「right」なプレイは健在だが、ぐっと構えて打ち込んでいく場面が多くなった。その分、体への負担も多くなるのでゲームが長引けば体力の消耗も激しくなる。

当然、ヒンギスにとっては想定内のこと。新しいプレイスタイルを確立するにあたり、体力、持久力を高めるトレーニングを積んできているだろう。敢えて言及すれば、無理がたたってのケガだけがこの先の心配事項でもある。

日本人選手は善戦むなしく2回戦進出が最高


本選ストレートインは杉山愛浅越しのぶ、そしてワイルドカードで出場の中村藍子。さらに厳しい予選を勝ち上がって出場を果たしたのが小畑沙織藤原里華。以上5人が本選に出場した。

昨年は浅越しのぶがベスト4に進出し、大いに大会を盛り上げただけに今年も期待をせずにはいられなかった。しかし、杉山、浅越ともに初戦でシード選手に当たるというドロー運の悪さにも左右され、残念ながら昨年を上回る結果を残すことができず、4人が初戦で姿を消す結果となった。

とはいえ明るい話題もあった。予選を勝ち上がって本選出場を果たした小畑沙織が1回戦を突破したことだ。2回戦ではバイディソバに4-6、4-6で敗退したものの、一進一退の攻防を見せ、次に繋がる敗戦だったと言えよう。一時期は世界ランキング39位まで駆け上ったものの、その後スランプに陥りランキングは100位台後半まで下降した。

しかし昨年後半から復調の兆しが見え初め、今年に入り全豪オープンでも本選に入り、この東レでも厳しい予選を勝ち上がり本選で1勝。小畑完全復活か!これで100位内は確実であろう。

そして、気がかりは日本のエース、杉山愛の不調だ。シーズン開幕直後に体調を崩し、調整が遅れたことが影響し勝ち星を上げることができないでいる。全豪に引き続き、東レでも初戦で、第8シードのA・イワノビッチに3-6、0-6で完敗。東レPPOの後は2週間トーナメント出場を見送り、休養とトレーニングに充て、2月20日から始まるドバイオープンで再スタートを切る。

1995年に伊達公子が東レで優勝して以来、日本人選手の優勝はない。近い将来、また日本人選手が決勝の舞台に上がることを期待したい。


今年も多くの話題で盛り上がりを見せた東レ・パンパシフィック・オープンはディメンティエワの優勝で幕を閉じた。次の大きな大会は5月の全仏。それまで選手は世界各国のトーナメントで凌ぎを削るのであろう。
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