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東レPPO閉幕。ヒンギスがシャラポワを下す!(2ページ目)

オーストラリアから東京へ。女子のトップ選手がこぞって参加する東レPPO。ディメンティエワの優勝で閉幕したが、復帰間もないヒンギスがシャラポワを下し、大会を大いに盛り上げた大会をプレイバック。

執筆者:伊藤 一幸

序盤は両者一歩も引かない展開に。しかし…

世界中のメディアがこの2人の対戦に注目していたこともあり、このカードに対する期待感からか明らかに普段とは違う高揚した雰囲気に会場は包まれていた。

2月4日13時、いよいよ2人の試合がスタート。序盤は両者一歩も譲らない。お互い相手の様子を探るような展開ではなく、最初からそれぞれの持ち味を活かしてサービスゲームをキープしていく。

シャラポワは強烈なサーブで主導権を握り、パワフルなストロークでポイントを重ねていく。一方のヒンギスも1stサーブから回転系のサービスを放ち相手に的を絞らせず、その後は正確無比なストロークでシャワポワを追い込みポイントを重ねていった。

試合の転機を迎えたのは第8ゲーム、シャラポワのサービスゲームでのことだ。今までの展開からすれば当然、シャラポワがサービスゲームをキープするものと思っていたが、ここでヒンギスがブレイクに成功して、5-3。

サービング・フォー・ザ・セットを迎える。淡々とプレーを続けるヒンギスがサービスゲームを無難にキープして1stセットを6-3で奪った。

続く第2セット、シャラポワの反撃が始まるか!と思いきや、ヒンギスのプレーが更に冴えを見せ、完全にシャワポワを封じ込めた。

回転量を自在に操るストロークを軸に時にフラット系のハードヒットを織り交ぜ、得意のバックハンドのストレートが要所でシャラポワのコートに突き刺さる。しかも打点が早い。コートをめいっぱい使い試合を組み立て、チャンスとみるや素早くネットに詰めてボレーで仕留める。

とにかく見事としか言いようのない完璧なプレーで、シャラポワに付け入る隙を与えず第2セットは6-1というスコアでゲームセット。大方の予想に反しヒンギスの圧勝という結果に終わった。

試合後のインタビューでヒンギスはこう語った。

シャラポワ選手は今ランキング4位の選手。私自身ベストのテニスで臨まなければ勝てない相手だと思っていましたが、今日はそれができたことで勝つことができました。私のテニスは一戦ごとにレベルが上がってきています。今大会でキリレンコ選手に勝ったこと、そして、全豪オープンのミックスダブルスで優勝したことが自信につながりました。そして、今日の勝利で自分にもまだ以前のような勝負強さが残っていることが確信できました。

注目の一戦は今回、ヒンギスに軍配が上がったが、次回は分からない。今の女子ツアーでヒンギスのようなプレースタイルをある意味究めている選手は皆無に等しい。シャラポワは初めて経験するクレバーなテニスに面食らったということもあるだろうし、相手がヒンギスということもあり力んでしまったということもあるだろう。

いいところがなく完膚なきまでに叩きのめされた感のあるシャラポワ。次までにはちゃんとヒンギスを研究し今回の大きな「借り」を返しに果敢に挑んでくるであろう。しかし、この試合のヒンギスは「上手い」という単語がまさにベストフィットする内容だった。

パワーとスピード一辺倒になりつつある女子テニス界において、ボールを操り、試合を組み立て、ポイントを奪っていくクレバーなテニスは、テニスの奥深さを感じさせ、実に新鮮で観る者を惹きつけた。そう、ヒンギスの復帰を心から喜んだ一日でもあった。
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