ロフト6度のパターが注目を集める
多ロフト角パターの火付け役になったマグレガー「MACTEC IM-Xパター」 |
一般的に市販されるパターのロフトは、2度から4度。6度は明らかに大きいといえます。特に6度のパターがいいということで、発売前から話題になり、一時は6度モデルだけ欠品するショップが続出したといいます。
シャフトがヘッド後方からフェースへ斜めに装着される特異な形状で注目されているオデッセイの「バックストライク パター」も2機種にロフト5度がラインナップされています。グリップの位置がハンドファーストに構えやすくなっているというこのモデル。ハンドファーストとは、手元がヘッドよりも先行している状態のことを言います。つまりハンドファーストの度合いが強くなると、その分、ロフト角は事実上少なくなるので、最初からロフトを大目にするという工夫です。
今年に入って、こうした高ロフトのパターが発売され、人気を集めています。パターは、形状やフェース面の素材に関心が集まりがちですが、今回、特にロフト角に注目が集まったのはパターの性質を考える上でもとてもい良いことだと思います。
特異なシャフト位置が話題のオデッセイ「バックストライクパター」 |
例えば、日本を代表するクラブ設計家で本人もトップアマの実力である竹林隆光氏は、その著作で「ロフト0度の状態が最もエネルギーの伝達効率がよくて、つまり最も転がりが良いボールが打てる」(竹林隆光『ゴルフクラブの真実』パーゴルフ新書)といわれています。
ショートゲームの専門家として名高いデーブ・ペルツ博士は、芝質によって替えるべきだと言っています。「やわらかいベント芝では、ロフト角は0.5度から1度くらいが最良」で、バミューダ芝の多いフロリダでは、「4度から6度のロフト角を使うとき、最良のボールの転がりが得られる」(デーブペルツ『パッティングの科学』ベースボールマガジン社)としています。
理論派のティーチングプロとして知られる永井延宏プロは、「パターが本来もつロフト角(3~4度前後)でインパクト」することの大切さを説き、また速いグリーンではロフト角は大きいもの、遅いグリーンではロフト角の少ないものにアジャストするくらいの関係が良いと主張されています。
つまり、パターのロフト角は多いほうがいいのか、少ないほうがいいのか、現状では諸説あるといったところでしょう。大切なのは、プレーヤーが自分の思った転がりを実現すること。ロフト角は、そのためのひとつの要素というわけです。