パットの名手に愛されたパター
パッティングの名手ベン・クレンショーが愛用した「ウィルソン 8802」 |
メジャーでの大差の優勝といえば、やはり思い出されるのはタイガー・ウッズ。
プロデビューしたばかりの97年のマスターズに、2位に12打差で優勝して以来、いくつもの圧勝劇を演じてきました。
そのタイガー・ウッズですが、大会前に愛用するパターを変更したことで話題になりました。
これまで使用してきた「スコッティ・キャメロン ニューポート2」は、なんと11年にわたり愛用し、メジャー大会はもちろん、おびただしい数の勝利に貢献してきました。
ご存知のように、世界No.1ゴルファーであるタイガーは、ロングヒッターであると同時に卓越したショートゲームのうまさを備えたプレーヤーです。特にパッティングの巧さには定評があり、大舞台で勝負所のパットをねじ込んでいるシーンを頻繁に目にします。
そのタイガーのパッティングを11年ものあいだ同じパターが支えてきたというわけです。パターの変更が、ニュースになるのも無理はありません。入らないからといって、ころころとパターを替えてしまう我々アマチュアゴルファーは見習いたいところです。
多くの場合、パターの名手と呼ばれる選手は、同じパターを長期間使う傾向があります。
有名なところでは、ベン・クレンショーの“リトルベン”と呼ばれた「Wilson8802」L字型パター。ジャック・ニクラウスは、選手生活後半には、多くのパターを試しましたが全盛期には、「ジョージロウ スポーツマン」が常にその手にありました。
日本では、谷口徹プロの「オデッセイ#5」が、有名です。オールドファンには、杉原輝雄プロのカマボコ型パター、青木功プロのT字型パター、ジャンボ尾崎プロが長らく愛用した「トミーアーマー IMG5」などがすぐに頭に思い浮かぶでしょう。
名手が、同じパターを長く使用する理由を、ガイドなりに推測すると、パターとそれを用いたパッティングにはとても密接な関係があることがカギになるのではないかと思います。
パターが変わるとまったく同じストロークをしたとしても、距離感も方向性も変わってきます。ゴルファーは、打感や打音にもこだわりを持つプレーヤーが多いですが、もちろんそれらも変わります。
名手たちのパッティングの巧さは、その代名詞といえるパターとの共同作業によって生まれているのです。もし、使っているパターの特性が大きく変わってしまったら、彼らは名手ではなくなってしまうかもしれません。