ゴルフ場開発への誤解

ゴルフ場開発には、森林を守るための残置森林比率が定められている
なぜゴルフは嫌われてしまうのか?」に引き続き、今回も『ゴルフ場は自然がいっぱい』(田中淳夫 ちくま新書)をたどりながら、日本におけるゴルフ場への誤解、環境破壊について考えてみたいと思います。

まず、ゴルフ場の環境破壊といわれて思い浮かべられるのは、開発による大規模な山林の造成ではないでしょうか? 山野を切り開き、樹木を伐採して芝生を敷きつめます。森林が丸裸にされるような印象を持っている人も少なくありません。

しかし、ゴルフ場には残置森林比率というものが決められています。残置森林比率とは、ゴルフ場開発の際に森林を残しておかなければならないという義務を決めたもの。各自治体によって、その比率は変わるものの、ゴルフ場の森林の多くがそのまま残ることになります。さらに、ホールとホールの間の木々など造成森林も加えると、ゴルフ場造成後も60~80%の森林面積が保持され、大部分の森林はゴルフ場開発後も残るということになります。この60~80%という数字は、一般的な認識よりもかなり大きいのではないでしょうか?

ちなみに、ゴルフ場開発に関連する法律は主なもので23本。都道府県の条例などを加えるとさらにあります。開発には、認可に時間がかかり、また工事には成約が多くなります。調整池の設置の義務付けやのり面など斜度の規制、水流を変えてはいけない規定があり尾根を削って分水嶺を変更することもできないなどの規制は、施工業者は手間やコスト増につながりますが、少なくとも環境面を守る意味で効果があるようです。

問題は、造成中の土砂による水質汚濁でしょう。調整池で沈殿させるなどしても限界があり、下流の自然環境への影響は懸念されます。

ただ、本書によれば、完成後の土壌流失はほとんどないといいます。土壌の切削が終了しており、また芝生に覆われることで土壌流失を食い止めます。ちなみに芝生をしきつめることは、保水の点からも効果があり、森林と比べても変わらないという研究結果があります。むしろ、地形をなだらかにすることで降雨などの土壌浸食を防ぐ効果が期待できます。造成されたゴルフ場は森林と同様、地域の土壌の安定に貢献できるのです。

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