ブームに終わった超長尺
超長尺ブームに生まれた「WIDE SYB」。手元側が太くなった長尺専用シャフト |
超長尺ドライバーは確かに実際に大きく飛距離アップし、一時はプロのトーナメントでも使用するプレーヤーが出るなど流行したのですが、方向性やミート率が悪くなったり、他のクラブとの兼ね合いが悪くなったりする弊害が出たためすぐ廃れてしまいました。
「羹に懲りて、膾を吹く」といいますが、ゴルフメーカーは長尺化を失敗と位置づけたようで、それ以降、ドライバーは短いものが中心になり、飛距離アップはフェースの高反発化によるところが大きくなりました。現在も45インチ前後の長さから概ね変わっていません。また長尺化に著しい拒否反応を表すゴルファーは、今も少なくありません。
シャフト長尺化のメリットは、いうまでもなく飛距離が伸びることです。これは同じようにスイングできれば、という前提での話になりますが、1インチ長くなれば大抵のゴルファーは明らかに弾道の伸びが違ってくるでしょう。
一方で、デメリットは正確性が落ちることです。長くなることによって、ミート率は下がります。これは、ショートアイアンよりロングアイアンのほうが難しくなることを考えていただければ、イメージしやすいでしょう。また1インチ伸びるとスイングバランス(クラブを持ったときに感じる重さの目安)は数ポイント上がります。それを嫌って、クラブの総重量を軽くすると、セッティング内の他のクラブとの兼ね合いが悪くなってきます。
しかし、当時の超長尺ドライバーのヘッド体積はせいぜい300cc強。この十年でシャフトの長さは変わらないままヘッド体積は拡大の一途を辿りました。現在の460ccクラスの大型ドライバーは、ミスへの許容範囲が飛躍的に大きくなっています。つまり、ミート率の低下はヘッド性能でカバーできるため、以前よりもシャフト長を長くする余地は大きくなったといえるでしょう。