アイアンもルール違反!?
SLEルール不適合の裁定を受けたマグレガー「MACTEC NV3アイアン」 |
施行まで十分な準備期間を設けたはずのSLEルールですが、ゴルファーの間では未だに混乱されている人も少なくありません。そんな中。ルール施行直前のこの時期にショッキングなニュースが入ってきました。
2004年に発売されたマグレガーのアイアン「MACTEC NV3アイアン」が、R&AからSLEルールに違反するという裁定を受けました。あまりに突然のことにメーカーも上訴し、R&Aと協議した結果、2009年12月31日まではゴルフ規則に適合のクラブとして扱うという特別処置がとられることとなりました。
「あれ、アイアンにも高反発規制が適用になるの?」と思われた方も多いでしょう。2002年の「R&AとUSGA、ゴルフ用具規則基本方針およびスプリング効果規則に関して合意」では、明確に「ロフト15度以下のクラブに限っての適用」と定められています。つまり、その時点ではSLEルールはドライバーだけのものだったのです。
ところがR&Aによって、ドライバー以外のクラブにもSLEルールを適用することが2006年1月に決定していました。日本のゴルフ界ではほとんど問題にならないまま、このような重要な決定が行われていたことになります。
この決定が、日本国内でいかに寝耳に水だったかということは、各ゴルフメーカーからラインナップされているFWやアイアンセットを見れば一目瞭然です。必ず「SLEルール適合」などと表示されているドライバーとは対照的に、どのメーカーもFWやアイアンセットに対してSLEルールに関しての言及は全くありませんでした(※全てルール適合であるため、あえて表記しなかったとするメーカーもあります)。
「MACTEC NV3アイアン」に関しては、2004年に発売されたモデルを2006年に定められたルールで、“ルール違反”のレッテルを貼られたわけですから、不合理な話です。もっともスプリング効果を禁止したゴルフルールが既にあることを考えれば、R&Aとしては唐突でもなんでもなかったのかもしれません。
1月からSLEルールが施行されると、ドライバーだけではなく、FW、アイアンに至るまで、基準値を超える高反発クラブの使用が全て禁止されます。しかし、ドライバーに関しては、現在、ルール不適合ドライバー、適合ドライバーの2種類のリストがR&Aから発表され随時更新されているため、自分の使用するクラブがSLEルールに沿ったものかを判別する事が出来ます。
ところが、FW、アイアンセットに関しては何の手がかりもないため、自分が実際に使用しているクラブがルールに適合したものかを判別することすら出来ません。ルール施行直前にいかにもお粗末な状況ですが、「悪法もまた法」。我々ゴルファーは、したがうほかはありません。