被害者にも過失責任が…
林間コースではつき物の傾斜。予測もつかない打球が出る事がある |
平成12年に兵庫県で起きた事故は、同伴プレーヤーが打ったボールが右前方約40メートル付近にいた被害者男性の即頭部を直撃し、後遺症が残る被害を受けたというものです。被害者は治療費、後遺障害による逸失利益、慰謝料等への損害賠償請求を起こしました。
加害者となったプレーヤーは、相応のゴルフ経験を持ち、過去に何度も一緒にラウンドした経験があることから、そのときの状況(傾斜で、深い草がボールに覆い被っている)からミスショットが出る可能性、ボールが衝突する可能性などを十分予測でき、その注意義務を行ったと判断されました。
しかし、一般的に同伴プレーヤーのショットよりも前に出ないのはゴルフマナーの基本。そのためこの被害者男性にも過失があると認定。賠償請求額のうち6割が過失相殺される形となりました。
このケースでは、ともにベテランゴルファーであり、一緒にプレーした経験も豊富という事で、双方に事故の可能性を予測し回避することができたという事が重要な点です。どちらかが危険を認識し、周囲への注意や配慮をする事によって未然に防ぐ事の出来た事故といえます。いずれにせよ、一緒にゴルフを楽しむ間柄が法廷で賠償請求の争いをするのは寂しいものです。