極めれば職人芸に近づく
そしてセコンド最大の見せ場とも言えるのが、紙テープの片付けです。- リングに上がり、足の裏で紙テープを素早くコーナーに集め
- リングの鉄柱を利用して紙テープ束をちぎり
- 手でくるくる丸めて、一気にリング下に放り込む
勝敗がついた後は、レスラーが負けた場合、すぐに駆け寄ってダメージ確認を行います。勝った場合は、格闘技のように選手を担ぎ上げて一緒に喜んだりする事はほとんどありません。主役はあくまでも選手です。ゲーリー・グッドリッジの妹(通称グッドリッジ子)のように、勝利のダンスを踊るなんてもってのほかです。
このように、女子プロレスのセコンドは、他の格闘技と明らかに違います。声援や紙テープの例でわかるように、女子プロレスはセコンドもひとつの見世物になっているのです。だんだんキャリアを積んでくると、選手は更にお客さんが楽しめるようなセコンドぶりを考えて立ち振る舞います。ヒールのセコンドも試合に介入するなどして、リング上での戦いに大いに影響を与えるようになります。
セコンドには危機管理が最も求められる
根底にあるのはアクシデントが起きた時、すぐ対応できる心構えを常に持っていること |
例えば場外戦になった場合、セコンドはお客様の安全を確保しつつ、場外プランチャーなどで両選手がフェンスや地面に頭を打たないよう、サポートしなければいけません。私も以前、納見さんとシングルで対戦して場外プランチャーを受けた際に、床に頭を打って白目をむき、セコンドについてくださっていた園子選手も足を痛めるなど、大惨事になったことがありました。
これは納見さんがGAEAマット初参戦で、プランチャーの飛行姿勢やタイミング、角度に対する予備知識が、私やセコンドに不足していたことで起きてしまった部分があったと思います。今さらながらセコンドも含めて、選手をよく知ること、常に危機管理を怠らないことがとても大切なのだと思いました。
でも、私の試合の時は、数々のアクシデント(コスプレが股から裂けたり、ロープに手足が絡まり外れなくなったり)が起きても、ほとんどの場合はセコンド陣は腹抱えて笑い、冷静な指示どころか「何とかしろよ」と、人の不幸を涙を流して喜んでいたのでした。
何はともあれ、“女子プロレスは、セコンドの付き方もプロであること”が求められます。少しはためになりましたでしょうか。
それではまた次回。
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