MVPにノミネートされたのは新日本主力3選手

【最優秀選手賞(MVP)】内藤哲也
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2016年度プロレス大賞MVPは新日本に新しい風景を生んだ内藤哲也

ノミネートされたのは内藤哲也、ケニー・オメガ、オカダ・カズチカ。いずれも新日本プロレスの主力選手でした。ここ数年、プロレス界が新日本を中心に回っていることを如実に表した結果と言っていいでしょう。

2016年の新日本は、エースの一角である中邑真輔が1月末で退団してWWEに移籍したことで不安視されましたが、それを払拭したのがノミネートされた3選手です。

内藤はロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン(以下、LIJ)なるユニットを率いて新日本に新たな風景を生み出しました。LIJのグッズが飛ぶように売れ、会場にはLIJのTシャツを着た若いファンが急増。専門誌の表紙を最も多く飾ってブームを起こした内藤は、まさしく2016年の顔でした。

ケニー・オメガもWWEに移籍した外国人エースのAJスタイルズ以上の活躍を見せてベストバウト級の試合を連発しましたし、IWGPヘビー王者のオカダに関しては「オカダがいるからこそ、新日本が回っている」という評価でしたが、投票結果は内藤=18、オメガ=1、オカダ=2。内藤がMVPを初受賞しました。


【年間最高試合賞(ベストバウト)】
オカダ・カズチカvs丸藤正道(7月18日、北海道立総合体育センター・北海きたえーる)

ノミネートされたのはオカダと丸藤のG1クライマックスAブロック公式戦、同じくG1のBブロック優勝戦進出がかかった8・13両国の内藤vsオメガの公式戦、1・4東京ドームのオカダvs棚橋弘至のIWGPヘビー級戦、カマイタチ(現・高橋ヒロム)がドラゴン・リーからベルトを奪取した1・24後楽園のCMLL世界ライト級戦の4試合。MVP同様に新日本の独占状態になりました。

近年のプロレスの大きな試合は、そこに至る流れやストーリーが重視される傾向にありますが、札幌のオカダvs丸藤は何の接点もない団体のトップ同士がいきなり激突したにもかかわらず、スタイルの違いを越えて両者ともに己の持ち味を発揮し、クオリティの高いファイトを展開した名勝負でした。

オカダvs丸藤が正統的な名勝負ならば、内藤vsケニーは現在のプロレスのヘビー級の試合として新しいものを提示した名勝負。両者の才能が爆発した破天荒な試合で「単純に凄かった!」という声もありました。

オカダvs棚橋は2012年からスタートした2人の闘いの集大成とも言える名勝負で、ここ数年のなかで最も評判がよかった今年の1・4東京ドームを見事に締めました。カマイタチvsドラゴン・リーはお互いの才能とポテンシャルが見事に引き出され、日本とメキシコの国境を越えて新しいジュニアヘビー級の景色を見せた試合でした。

投票結果はオカダvs丸藤=12、内藤vsオメガ=5、オカダvs棚橋=3、カマイタチvsリー=1。オカダvs丸藤の新日本vsノアのトップ対決がベストバウトに輝きました。


【最優秀タッグチーム賞】関本大介&岡林裕二
授賞した関本&岡林の他、ユニットとしてドラゴンゲートのジミーズ、そして新日本で大旋風を巻き起こしたロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンもノミネートされました。

ジミーズはユニットの移り変わりが激しいドラゴンゲートにあって、結成から丸5年が経過した職人集団。メンバーのどの組み合わせでも一級品の連係を見せ、2016年にはジミー・ススム&ジミー・カゲトラがオープン・ザ・ツインゲート統一タッグ王者(現在は陥落)、ジミー・神田&斎藤”ジミー”了&堀口元気H.A.Gee.Mee!!がオープン・ザ・トライアングルゲート王者(現在も保持)としてタッグ王座を独占していた時期もありました。「ジミーズなくしてドラゴンゲートはあり得ない」という声も上がったほどです。

LIJについては「このユニットが盛り上げなければ新日本及び、日本のプロレスは下降線をたどっていたのではないか」という意見が出ました。

しかし、純粋にタッグチームとして完成度が高く、強さに説得力がある関本&岡林を推す声も多く、投票結果は関本&岡林=13、ジミーズ=3、LIJ=5で関本&岡林が2011年に続いて2度目の受賞を果たしました。


殊勲賞は満場一致で三冠ヘビー級王者の宮原健斗が受賞

【殊勲賞】宮原健斗
全日本プロレスの三冠ヘビー級王者・宮原が満票で受賞しました。2月12日の後楽園でゼウスとの決定戦に勝って史上最年少の26歳11か月で三冠王者になり、以後、大森、関本、真霜、秋山、崔、諏訪魔相手に6度の防衛に成功。

全日本は1月に三冠王者だった諏訪魔が右足アキレス腱断裂で長期欠場に追い込まれましたが、その穴を埋めたばかりか、歴代王者とは異質のキャラクターで若いファンを開拓し、新しい風景を作り出しました。相撲の殊勲賞は横綱、あるいは優勝力士を倒した力士に与えられますが、その意味では関本、諏訪魔を相手に防衛した実績はまさしく殊勲賞にふさわしいものです。


【敢闘賞】中嶋勝彦
この賞は接戦でした。エントリーされたのはNEVER王者として第三世代や外国人選手など、幅広い相手と防衛戦を重ねて相手を見事に引き出し、オカダや内藤とは違う角度から新日本を支えた柴田勝頼、新日本のG1に出場して爪痕を残し、鈴木軍からGHCヘビー級王座を奪還した中嶋勝彦、同じくノアファンの期待を一身に背負って鈴木みのる、杉浦貴に肉薄して急成長を見せつけたマサ北宮の3人です。

投票結果は柴田=8、中嶋=11、北宮=2。中嶋がGHC王者になったことで新日本、全日本、ノアのヘビー級王者はいずれも20代になりました。「ここからが中嶋の本当の勝負!」という期待感の大きさも決め手になりました。


【技能賞】ケニー・オメガ
ノミネートされたのはオメガ、YAMATO、鈴木みのる、黒潮”イケメン”二郎の4人。MVPにも推されたオメガについては、ラダーマッチからシリアスな試合まで幅広いファイトで常にハイレベルな試合を提供し、外国人選手として初めてG1に優勝したことが高い技能として評価されました。

ドラゴンゲートのYAMATOは5月にヒールからベビーフェースに転向し、もう一方の雄・鷹木信悟を7月に撃破してオープン・ザ・ドリームゲート王座を奪取。技術的に申し分なく、ファンの支持も高いことで推されました。

鈴木みのるのノミネートは意外かもしれませんが、『グローバル・リーグ戦2016』で20歳も若い北宮と同じ目線で35分も戦って優勝、12・2後楽園でやはり20歳若いGHC王者・中嶋と37分の熱闘、翌日には杉浦と33分の激闘をやってのけるという練習に裏打ちされたコンディション、そして技能に対する敬意の声がありました。黒潮は、W-1を盛り上げ、アウェーの全日本に上がってもファンを魅了してしまうキャラクターが買われました。

結果はオメガ=11、YAMATO=6、鈴木=2、黒潮=2。オメガの受賞は外国人選手として初の快挙です。


【新人賞】橋本千紘
昨年は該当者なしとなった新人賞ですが、今年はドラゴンゲートからBen-K、エル・リンダマン、ノアから清宮海斗、大日本プロレスから野村卓也、センダイガールズから橋本千紘と5人がエントリーされました。

投票結果はBen-K=1、エル・リンダマン=2、清宮海斗=8、野村卓也=1、橋本千紘=9ということで、過半数に達する選手がいなかったので、清宮と橋本の決選投票となり、清宮=8、橋本=13で橋本が受賞。

日大レスリング部出身の橋本は昨年10月にデビューしたばかりですが、ちょうど1年目の今年10月に里村明衣子をジャーマン・スープレックス・ホールドで撃破してセンダイガールズ・ワールド・シングル・チャンピオンシップを奪取するなど、ずば抜けた実績を上げており、男女の垣根を越えての受賞となりました。


【女子プロレス大賞】紫雷イオ
新人賞に輝いた橋本、昨年受賞のイオ、タレントでありながらDDT所属選手として女子プロレスを広めるために体を張っている赤井沙希、12・11ミヤンマーのヤンゴンで「世界一危険な格闘技」と言われるラウェイに初挑戦してKO勝利を収めた高橋奈七永、ひとたびリングに上がれば真摯にプロレスに取り組んで常に話題を振りまくタレントのLiLiCoの5人がエントリーされました。

投票結果は橋本=4、イオ=13、赤井=1、奈七永=1、LiLiCo=1。今年は海外にも進出してヨーロッパのファンも魅了するなどの活躍を見せ、所属するスターダムのみならず女子プロレス界全体をリードしていた感がある紫雷イオが2年連続受賞。2年連続は11年&12年連続受賞の愛川ゆず季と並ぶ快挙です。


【功労賞】ハヤブサ(江崎英治)
3月3日にクモ膜下出血により、47歳の若さで急逝されたハヤブサ選手に贈られることになりました。大仁田厚引退後のFMWを支え、2001年10月に試合中のアクシデントで頸椎を損傷し、車イスでの生活を余儀なくされても引退せずにリング復帰に向けて努力を続け、ファンに諦めないことの大切さを伝えたレスラーでした。


【レスリング特別表彰】
登坂絵莉(リオ五輪女子レスリング48キロ級金メダル)
伊調馨(リオ五輪女子レスリング58キロ級金メダル)
川井梨紗子(リオ五輪女子レスリング63キロ級金メダル)
土性沙羅(リオ五輪女子レスリング69キロ級金メダル)