誤審問題の“動機”検証をブラックボックスにするな!
すでに魔裟斗は、早期引退を一回大会前に撤回している立場であり、普通ならば10月に予定されるMAXのワンマッチ大会での復帰に照準を絞って来ると考えるべきであろう。だが、この圧倒的な内容の決勝戦でK-1審判団は、プアーカオの圧勝と言える試合内容に対して、ドロー二者というあり得ないスコアを提出、延長判定をくだしてしまったのだ。>後に誤審として覆されるこの意味不明のドタバタ劇は、ファンの信頼だけでなく、魔裟斗自身の張り詰めたテンションを大いに萎えさせるような事件であったように思えてならない。
実際にリングの上でこの試合を“差違えた”のは角田審判団長だった |
だが、この件は、それで片付くほど軽々しい問題ではない。
なぜなら、角田審議プロデューサーの発表には肝心の「なぜ」が一切触れられていないからだ。この判定が「誤審」だったと認めるのは当然勇気ある行為である。K-1の競技面の公平性を守るために、その事実を認めようとした角田氏と関係者の勇気は認めねばなるまい。
しかし、その検証をするうえで、欠け落ちているのは、公平を旨とする二者審判が「なぜ」圧倒的に不利であった魔娑斗に、ドローもしくは勝利という評価を与えてしまったかという「原因」の追求である。一人のジャッジの印象面での誤審ならまだしもわかる。しかし同時に二人の審判が、同じ方向性で誤審を行ったという行為は偶然や事故ではありえない。そこに共通する「興行上の主人公を負けさせては不味い」という認識があり、それを容認してしまう空気が運営側全体あったという事を意味するのではないか?
リング上の情勢は誰が見ても明らかであり、「誤審」といったあまっちょろいものが入り込む余地はなかったといえる。延長判定が告げられた時に、プアーカオは露骨にカオをゆがめたし、本来“救済”を受けたはずの魔娑斗にしても喜びを微塵も感じさせない硬い表情を見せるなったのではないのか。
ならば、それは「誤審」ではない。
確信犯的な競技操作であり、興行に有利な結果を作為的に導き出すイカサマでしかない。
結果的に延長ラウンドでも魔娑斗の攻勢が無く、勝負は再び判定にゆだねられた。
この延長ラウンドではさらにプアーカオの優勢が明らかになっただけで、これ以上の贔屓は許されない空気になったからこそ「しぶしぶ」プアーカオに勝利が与えられた。