■陽気な豪腕男に何が起こったのか?■

マイク・ベルナルドはもう限界なのかもしれない。
3月27日に行われたK-1 World GP開幕戦で、かつての弟弟子ヤン・ザ・ジャイアント・ノルキヤ相手にたった2分32秒で三つのダウンを奪われて敗北。試合内容はまったくのワンサイドゲームだった。

TV中継では、両者のジム移籍を巡る二年越しの因縁が延々謳いあげられ、さぞかし壮絶な遺恨マッチになるであろうという演出が取られていた。しかし、蓋を開けてみればベルナルドはいいところ無しの惨敗。圧勝したノルキヤの悲しげな表情が物語るように“アイアン・マイク”はすっかり錆付いてしまっていたのである。

かつてK1を代表する人気選手であったのは既に遠い昔。
ボクシング出身の強烈なパンチラッシュを武器にKOの山を築く戦いぶりで“豪腕”のニックネームを欲しいままにしてきたマイクだが、最近はその豪快な勝ちっぷりがすっかり影を潜めてしまている。それどころか、相手のパンチを浴びて面白いようにKOされてしまう“逆KOマシン”と化してしまっているのだ。リアルファイトである以上、如何に人気選手であろうともいつかは衰える日がやってくるし、凋落は当然の宿命なのかもしれないが、ベルナルドの場合、ピークからの転落はあまりに極端だった。

過去の戦績を見ていくと、2001年シーズンがその分かれ目であったことがわかる。

まずピークというべきなのは、この年
3月17日に行われたK-1 GRADIATER
で実現したバンナとの一騎打ちだろう。パンチ自慢の両者の白熱の激突は、なんとファンの歓声でラウンド終了のゴングの音がかき消されというアクシデントを呼ぶ。だがベルナルドは、その大混乱の中強烈なラッシュでバンナをノックアウトして、K-1の事実上のトップに立つことになる。

だが、その三ヵ月後、絶対の優勝候補として7月20日World GP名古屋予選に臨んだベルナルドは、決勝まで進みながら突然の怪我で試合を辞退。10月8日World GP福岡大会 でも、K-1を半リタイアしていたアダム・ワット相手に、まさかの1回戦敗退と散々な戦績が続く。つい半年前まで、バンナとの最強対決を制し、K-1の無冠の帝王の呼び名を我が物にしていた男の戦績とは思えないほどだ。

かくて無邪気で陽気な態度で親しまれたはずの“ベルちゃん”は、長い長い憂鬱な低迷期に突入することになる。一時は幾つもの企業から引っ張りだこだったCM需要もなくなり、リングの上での怪物ぶりも影を潜めた。インタビュウの席でも、硬い表情の沈うつな表情を見せ居る事が多くなり、当然戦績も低迷したまま。そしていつしか、彼と二人三脚でその栄光を支えてきたトレーナー、スティーブ・カラコダ氏の姿も、彼の横からは消えてしまった。

ベルナルドの身の上には、一体何があったというのだろう。