〈北海道警察〉シリーズ第2作
『警察庁から来た男』
北海道警察に派遣された監察員のターゲットは何なのか? そして佐伯が追う"転落事故"の真相とは? 刑事たちの誇りを描くシリーズ第2弾。 |
シリーズ最新刊『警官の紋章』
そして2008年末――待望のシリーズ第3作『警官の紋章』が書き下ろしで発表された。"サミット警備結団式"を1週間後に控える北海道警察で、勤務中の巡査・日比野伸也が拳銃を持ったまま失踪した。現場付近ではライフルを積んだ猟友会の車が盗まれ、津久井は日比野の足取りを追うことになる。いっぽう佐伯は2年前の覚醒剤密輸事件(のおとり捜査)に疑惑を抱き、格闘技に長けた巡査・小島百合は特命大臣のSPを命じられる。彼らの任務は互いに交錯し、厳戒態勢の敷かれた式典会場へと収束していく。シリーズの軸である津久井と佐伯に加え、本作では――前作の藤川に代わって――婦人警官である小島の奮闘が描かれるが、彼女もまた誇りを賭けて奔走する"佐々木節"のキャラクターにほかならない。並列的なドラマが繋がっていく構成も含めて、ここでは読者の求める定番が踏まえられているのだ。2007年版『このミステリーがすごい!』の第2位に選ばれた『制服捜査』、2008年版(同書)の第1位に輝いた『警官の血』など、著者は年間ベスト級の警察小説を次々に発表している。そんな実力者が――重厚さではなく――明快な娯楽性を目指したものが〈北海道警察〉シリーズと言えるだろう。一番の正解は"どちらも読むこと"なのである。
【関連サイト】
・『佐々木譲資料館』…著者自身による公式サイト。日記ブログや作品リストなどがあります。