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フロスト警部のハードな日々(2ページ目)

推理力とデタラメさを兼ね備えた迷警部フロストが帰ってきた。シリーズ第4弾『フロスト気質』は7年ぶりの邦訳となるファン待望の1作です。

執筆者:福井 健太

待望のシリーズ最新作
『フロスト気質』がついに登場!

『フロスト気質』
幼児連続刺傷犯と誘拐魔を追うフロストに(またしても!)次々と難事件が襲いかかる。迷警部の多忙な日々を描くシリーズ第4弾。
多くのファンが待ち望んだ〈フロスト警部〉シリーズ第4作『フロスト気質』が――前作『夜のフロスト』から7年ぶりに――ようやく邦訳された。このシリーズには巻を重ねるごとに長くなる傾向があり、今回は初の上下巻。文庫本で約900ページに及ぶ大作である。ハロウィーンの夜、ゴミの山から小指を切断された少年の全裸死体が掘り出された。さらに連続幼児刺傷犯が凶行を繰り返し、15歳の少女が誘拐魔から解放され、石炭貯蔵庫では謎の腐乱死体が発見される。署長の煙草を盗むために警察署を訪れたばかりに、休暇中のフロストは全ての事件を手掛けることになった……。物語の軸はもちろん捜査のプロセスにあるが、マレット署長、ウェルズ巡査部長、リズ・モード部長刑事、ジム・キャシディ警部代行といった脇役たちとフロストの対話も大いに楽しめる。かつてラジオドラマで鍛えた著者らしく、人々の造形と会話が――何処を切っても――ことごとく魅力的なのである。

前述したように著者が亡くなっているため、シリーズの新作が書かれることは(恐らく)有り得ない。現時点では"Winter Frost"(1999)と"A Killing Frost"(2008)の2作が未訳だが、これらも――何年後になるにせよ――いずれ日本に紹介されるはずだ。荻原浩が解説に記したように「早く読んでしまったら、もったいない」という複雑な思いを抱えているファンも多いに違いない。逆の言い方をすれば、未読の人はより多くの〈フロスト〉シリーズに出逢える"特権"を持っているわけだ。これは既読者にとってはなんとも羨ましい限りなのである。

【関連サイト】
さすがの名物警部もKO寸前!? 大人気シリーズ第4弾…東京創元社公式サイト内の『フロスト気質』紹介ページです。
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