ミステリー小説/ミステリー小説関連情報

クライムストーリーの名職人(2ページ目)

洒脱なクライムストーリーで知られる異才ジャック・リッチー。そのユーモラスにしてスパイシーな作品群を御紹介します。

執筆者:福井 健太

待望の最新刊『ダイアルAを回せ』

『ダイアルAを回せ』
殺人現場に駆けつけたターンバックル部長刑事。彼の眼前で繰り広げられた意外な展開とは? 15編を収めたファン待望の1冊だ。
最新刊にあたる『ダイアルAを回せ』も(当然!)多彩な魅力を内包している。安定感を保ち続けた著者の傑作・佳作が3冊で底をつくはずもない。ミステリーのお約束を逆手に取った表題作、毒の効いたオチが印象的な「フェアプレイ」など、読者を楽しませるテクニックはさすがの一言である。

日本オリジナル作品集の特徴としては、後半にシリーズものが置かれている点も挙げられる。吸血鬼探偵カーデュラ、迷刑事ヘンリー・ターンバックル――彼らのシリーズは(3冊全てに)数編ずつ収められている。前者は奇抜なヒーローの善悪を超えた活躍がユニークだし、後者は捜査の迷走ぶりがユーモラス。多彩な設定が盛られたノンシリーズ、お馴染みのキャラクターに出逢えるシリーズ――ここでは両方が一度に楽しめるのだ。

【関連サイト】
KAWADE MYSTERY…フリー編集者・藤原義也氏のサイト内にある「KAWADE MYSTERY」のページ。『10ドルだって大金だ』『ダイアルAを回せ』の紹介があります。
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