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容疑者は恐竜?

3月に創刊された中高生向けのミステリーレーベル「理論社ミステリーYA!」。個性的な創刊ラインナップの中からオススメの作品をご紹介します!

執筆者:石井 千湖


3月に創刊された中高生向けのミステリーレーベル「理論社ミステリーYA!」。個性的な創刊ラインナップの中からオススメの作品をご紹介します!

ミステリー+ファンタジー山田正紀『雨の恐竜』

雨の恐竜
ウェブでは見えないが、タイトルの上には涙のような水滴がキラキラ。装幀も凝っている。
山田正紀といえば、2002年に『ミステリ・オペラ』で第2回本格ミステリ大賞と第55回日本推理作家協会賞を受賞するなど、SF出身ながらミステリー界での評価も高い作家。

今回、「理論社ミステリーYA!」の創刊ラインナップの一冊として上梓された『雨の恐竜』は、ファンタジーの要素を取り入れたミステリーです。

舞台は福知(ふくち)県K**市東谷(とうだに)町。架空の町で、20年前に大量に恐竜の化石が発見されたという設定になっています。本書の語り手は、14歳の中学生・斉藤ヒトミ。彼女の部活の顧問である浅井先生が不審な死を遂げるところから物語は始まります。しかも、どうやらその死には恐竜が絡んでいるようなのです。

ヒトミはいつも不機嫌で、自分の名前が嫌いだから「モウマク(網膜)」と呼んでほしいというような少女。押井守の「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」に影響を受けて、将来は映画監督を目指しています。彼女と浅井先生は映画部の部長と顧問という間柄ではありましたが、親しかったわけではありません。むしろヒトミは先生が大嫌いだった。それなのに、彼女は事件のことを調べます。それにはある理由があって……。

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