一字一句を大切にした村上訳
清水氏が省略した部分も翻訳した完全版。 |
例えば冒頭のテリーがロールス・ロイスの中で酔っ払っているシーン。清水訳では、よく考えるとどんな状況なのか、どんな動作をしているのか曖昧な部分があったのですが、村上訳を読んで「なるほど」と思ったりしました。
英語がわからないので、原文と対照してどう、ということは指摘できないのですが、日本語だけを読み比べてみても面白い。文章の雰囲気や、テリーのキャラクターの印象も違います。村上訳の方がより礼儀正しく、人なんて殺せなそうな感じ。
清水訳の初版が出版されて約50年。こうやって名作が生まれ変わるのは、読者にとっても歓迎すべきことなのではないでしょうか。