90年代:日欧米以外の国・地域映画ベスト5
CRASH 『クラッシュ』 |
(1996年/カナダ映画/上映時間:101min/監督:デヴィッド・クローネンバーグ/出演:ジェームズ・スペイダー、ホリー・ハンター、イライアス・コティーズ、デボラ・アンガー)
・デヴィッド・クローンネンバーグが事故・傷・金属フェチをテーマに取り上げ、カンヌ映画祭でその評価が賛否両論真っ二つに別れた問題作です。ジェームス・バラードと妻のキャサリンはある日、出張で空港へ向かう途中ハイウェイ上で正面衝突事故を起こします。相手のドライバーは死亡。助手席に乗っていた女性ヘレンはジェームスと共に病院に担ぎ込まれます。やがて回復した二人は、事故の衝撃を通して思わぬ性的興奮を感じていたのです……。
甜蜜蜜 COMRADES, ALMOST A LOVE STORY 『ラヴソング』 |
(1996年/香港映画/上映時間:118min/監督:ピーター・チャン/出演: レオン・ライ、マギー・チャン、エリック・ツァン、クリストファー・ドイル )
・10年にもわたる一組の男女の恋愛模様を描いたロマンティック・ラヴストーリーで、香港アカデミー賞で、グランプリなど全9部門に輝いた逸品です。シウクワンは、ある事情から中国大陸を後にし香港へと渡ってきます。同じような理由で香港にやってきたレイキウ。町をさよっていた二人は、偶然マクドナルドで知り合うのです。二人の大河叙事詩とした風格のある作品となっています。
阿飛正傅 DAYS OF BEING WILD 『欲望の翼』 |
(1990年/香港映画/上映時間:97min/監督:ウォン・カーウァイ/出演:レスリー・チャン、カリーナ・ラウ、マギー・チャン、ジャッキー・チュン、トニー・レオン、アンディ・ラウ)
・実はあまり得意としないウォン・カーウァイ作品の中で2本だけ抜きん出て好きな作品があります。それは『花様年華』と本作です。本作の素晴らしさの半分は撮影のクリストファー・ドイルの功績だとしても、今までにない独特なタッチで若者たちの出会い・別れ・孤独をドライに綴ってゆくのです。今は亡きレスリー・チャンをはじめ香港映画界のオールスターキャストも見所のひとつです。
我的父親母親 THE ROAD HOME 『初恋のきた道』 |
(1999年/中国=アメリカ映画/上映時間:89min/監督:チャン・イーモウ/出演:チャン・ツィイー、チョン・ハオ、スン・ホンレイ)
・都会からやってきた若い教師ルオ・チャンユーに恋して、その想いを伝えようとする18歳の少女チャオ・ディ。ディは手作りの料理の数々にその想いを込めて彼の弁当を作ります。やがてその気持ちに彼も気づき、いつしか二人の心は通じ合います。しかし、時代の波「文革」が押し寄せ二人は離れ離れに。愛は走ること、愛は待つこと……。そして、チャン・ツィイーを見出し、主役に抜擢したことが成功の大部分をしめているのかもしれません。
THE PIANO 『ピアノ・レッスン』 |
(1993年/オーストラリア映画/上映時間:121min/監督:ジェーン・カンピオン/出演:ホリー・ハンター、ハーヴェイ・カイテル、サム・ニール、アンナ・パキン )
・19世紀の半ば、スコットランドからニュージーランドへ写真結婚で嫁ぐエイダ。旅のお供は娘のフロラと一台のピアノです。エイダは6歳の時から口がきけなく、ピアノが彼女の言葉そのものだったのです。そのピアノを夫のスチュアートは重すぎると浜辺に置き去りにし、ある男の土地と交換してしまうのですが、その男ベインズはエイダにピアノ・レッスンをしてくれればレッスン一回ごとに黒鍵をひとつずつ返そうというのです。「マイケル・ナイマン」の美しい調べにのせて繰り広げられる、哀しくも熱い愛の物語です。第46回カンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞。第66回アカデミー賞において作品賞を初めとした8部門にノミネートされ脚本賞、主演女優賞、助演女優賞の3部門で受賞を果たし、ライバル『シンドラーのリスト』を脅かした秀作です。