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90年代のBest5=日・欧・米・他:計20本(3ページ目)

もう一度観たい名作映画ベスト5シリーズの第4弾は、1990年代です。日本、ヨーロッパ、アメリカ、そしてその他の国・地域の作品それぞれのベスト5を一気にお届けします。

執筆者:中野 豊

アメリカ映画を中心に観ていた90年代、悩みぬいたベスト5ですが、最後まで候補にしていた『アイズ ワイド シャット』、『シン・レッド・ライン』、『マトリックス』、『スピード』、『ギルバート・グレイプ』、『L.A.コンフィデンシャル』、『ラリー・フリント』、『シザーハンズ』などが以下ご紹介する5作品にはじかれてしまいました。90年代はアメリカ映画繁栄の10年と言ってもいいでしょう。

90年代:アメリカ映画のベスト5

ショーシャンクの空に
THE SHAWSHANK REDEMPTION
『ショーシャンクの空に』
第5位:『ショーシャンクの空に』
(1994年/アメリカ映画/上映時間:143min/監督:フランク・ダラボン/出演:ティム・ロビンス、モーガン・フリーマン、ウィリアム・サドラー)
・脚本家として名をあげていたフランク・ダラボンが、スティーヴン・キングの短編小説「刑務所のリタ・ヘイワース」を膨らませて作り上げた渾身の劇場監督デビュー作です。妻とその愛人を射殺したかどでショーシャンク刑務所送りとなった銀行家アンディ。初めは戸惑っていたのですが、やがて彼は自ら持つ不思議な魅力ですさんだ受刑者達の心を掴んでゆくのです。そんな中、友人として登場するモーガン・フリーマンが陰影深く描かれています。「希望を失わずに生きよう」というメッセージがイヤミなく映画の骨格をつくり、観終わってからとても気分のよい良作になっています。

JFK
JFK
『JFK』
第4位:『JFK』
(1991年/アメリカ映画/上映時間:188min/監督:オリヴァー・ストーン/出演:ケヴィン・コスナー、シシー・スペイセク、ジョー・ペシ、ゲイリー・オールドマン、トミー・リー・ジョーンズ、ウォルター・マッソー、ジャック・レモン、ドナルド・サザーランド、ケヴィン・ベーコン)
・1963年11月22日、テキサス州ダラスで暗殺されたジョン・F・ケネディ大統領。この事件に材を取った映画は、これまでにフィクション、ノンフィクションを問わず多く製作されましたが、その中でも最大規模を誇る大作です。ニューオリンズの地方検事ジム・ギャリソンの著書「JFK/ケネディ暗殺犯を追え!」とジム・マースの「クロスファイア」を基にケネディ暗殺の謎に迫るのですが、ここで描かれるのはあくまでギャリソンの唱える共同謀議説を中心としたもので、事件に対するひとつの“推論”なのです。が、その“推論”を多彩な角度から捉えた撮影と、大量のドキュメント・フィルムをも織り混ぜた編集の力量は高く(共にアカデミー賞受賞)、この長尺をまとめきったオリヴァー・ストーンの手腕もあって、推理サスペンスの傑作となりました。

パルプ・フィクション
PULP FICTION
『パルプ・フィクション』
第3位:『パルプ・フィクション』
(1994年/アメリカ映画/上映時間:154min/監督:クエンティン・タランティーノ/出演:ジョン・トラヴォルタ、サミュエル・L・ジャクソン、ユマ・サーマン、ハーヴェイ・カイテル、ティム・ロス)
・監督デビュー作『レザボア・ドッグス』でも時制を越えた展開を見せたタランティーノが、本作ではさらに大きく時制を交錯させて複数のエピソードを繋いだ異色のバイオレンス・アクション・コメディに仕上げました。いくつかのエピソードをちりばめながらラストが冒頭シーンに繋がるという輪の構成が巧いです。本格的バイオレンスとしても観れますが、どこか間抜けで笑える展開は、無駄口シャワーのおかげでしょうか?(笑)。ユマ・サーマンとトラボルタのダンスシーンは最高!ジョン・トラボルタ復活映画としても記憶に残したい傑作です。

タイタニック
TITANIC
『タイタニック』
第2位:『タイタニック』
(1997年/アメリカ映画/上映時間:189min/監督:ジェームズ・キャメロン/出演:レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ウィンスレット、ビリー・ゼイン、キャシー・ベイツ、フランシス・フィッシャー、ビル・パクストン、バーナード・ヒル)
・みなさんもすでにご覧になっているでしょうから、深く書く必要もない作品ですね。実在の「タイタニック沈没」にフィクションであるローズとジャックの恋物語をミックスした新しい作品なのに、すでに古典的味わいのある名作です。九死に一生を得たローズが名前を聞かれた時「ローズ、ローズ・ドーソンです」と……。監督キャメロン一世一代の、「勧善懲悪」のラヴ・ストーリーです。

シンドラーのリスト
SCHINDLER'S LIST
『シンドラーのリスト』
第1位:『シンドラーのリスト』
(1995年/アメリカ映画/上映時間:195min/監督:スティーヴン・スピルバーグ/出演:リーアム・ニーソン、ベン・キングズレー、レイフ・ファインズ)
・ナチのホロコーストを知る映画としてはこれ以上の劇映画はないでしょう。映画は感傷を廃した実話ドラマとして淡々と進むのですが、その手法が逆に怖さを増殖させます。命乞いさえあきらめるユダヤ人をなんのためらいもなく、俊殺するシーンなど、信じられない光景を何度も目にすることでしょう。本作が実話であり、人間の尊厳に関わるという有無を言わせぬ説得力があり、そして3時間を超す長尺をまったく飽きさせないスピルバーグの構成力・演出力は抜群です。本作と正反対の位置にある『ジュラシック・パーク』を同時期に作っていたスピルバーグ。“芸術”と“娯楽”のはざ間で絶妙なバランス感覚を持つ同時代の映画作家は他に存在しません。監督としての個性がないではなく、天才的な職人監督として、数十年後には、最高の映画作家としての地位を与えられることと信じます。


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