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思いっきり泣けるヒューマンドラマ(2ページ目)

思いっきり泣きたい名作映画から、イタリアの名匠フェリーニの『道』、ニコルソン主演の『カッコーの巣の上で』、ヘレン・ケラーの人生を見つめた『奇跡の人』を紹介します。

執筆者:中野 豊

院内の人間の尊厳をみせる
『カッコーの巣の上で』

カッコーの巣の上で
アカデミー作品賞受賞作『カッコーの巣の上で』
ある異常な組織に中に長くいると、その組織の日常に疑問を持たなくなってゆくものです。そこに「新しい人間」が入ってくると、その人間は仕組みがオカシイということを知るでしょう。しかし、組織は新しい人間を「朱に交わらせて赤くしよう」とします。本作で言う組織とは、異常な管理下に置かれた精神病院。新しい人間・マクマーフィーは澄んだ空気を吹き込もうとしたのです。人間の尊厳、自由をじっくり考えさせられる70年代の傑出した本作は、アカデミー賞で作品賞を含め5部門を受賞しました。

刑務所から逃れるために詐病で精神病院に入院してきた主人公のマクマーフィー(ジャック・ニコルソン)が、ラチェッド婦長の管理のもとに無気力に管理される院内の革命児となってゆくドラマです。

患者たちのグループセラピーなどやめてテレビでワールドシリーズを観たいと主張したり、無断で船に乗せて、海に出たりもします。こうした反抗的な行動が管理主義的な婦長の逆鱗に触れ、彼女はマクマーフィーが病院から出ることができないようにしてしまいます。

ある日、集団ディスカッションで、急性患者の全員がいつでも退院できる自由意志であることを知り、皆は何故このような非人道的な施設から出ようとしないのかショック受けます。ディスカッションの終盤に騒ぎが起りマクマーフィーら3人が罰として電気ショック治療を受けさせられます。

クリスマスの夜、マクマーフィーは病棟に女友達を連れ込み、酒を持ち込んでどんちゃん騒ぎをおこし、その後、逃げ出すつもりだったのですが寝過ごしてしまいます。 翌日、乱痴気騒ぎが発覚し、そのことで婦長から激しく糾弾されます。そのショックである男性患者が手首を切って自殺。マクマーフィーは激昂し、婦長の首を絞めますが、看護人がマクマーフィーを殴り倒します。

マクマーフィーは他の入院患者と隔離され、ロボトミー手術によって、もはや言葉もしゃべれず、正常な思考もできない廃人のような姿になって戻ってきます。

患者仲間のひとりネイティブアメリカンの「チーフ」はマクマーフィーを絞殺し、精神病院を脱走していくところで映画は終わります。これは非人道的な管理社会への反抗を貫いたマクマーフィーの意志が継承された感動的なエンディングです。

【作品情報】
・1975年/アメリカ映画
・上映時間:129min
・監督:ミロス・フォアマン
・出演:ジャック・ニコルソン、ルイーズ・フレッチャー、マイケル・ベリーマン、ブラッド・ドゥーリフ、ウィル・サンプソン、クリストファー・ロイド、ダニー・デヴィート

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