映画/映画関連情報

思いっきり泣けるヒューマンドラマ

思いっきり泣きたい名作映画から、イタリアの名匠フェリーニの『道』、ニコルソン主演の『カッコーの巣の上で』、ヘレン・ケラーの人生を見つめた『奇跡の人』を紹介します。

執筆者:中野 豊

男が映画館で涙たらたら鼻水じゅるじゅるになるのは、ちょっと照れくさいですよね。そこで、今回は往年の名作映画から「大泣き必至」の作品を紹介しますので、ご家庭のディスプレィで一人でご覧いただき、どれだけでも泣いていただきましょうという3作品を紹介します。

その女、ジェルソミーナを忘れない
『道』

道
イタリアの名匠フェリーニの涙の最高傑作『道』
後悔先に立たず。そんな一言が身にしみる作品と言えるかもしれません。そばにいる時は、その人の良さが分からず、離れてみて初めて分かる。恋愛を経験した人なら誰でもそんな経験はあるのではないでしょうか? 常に人への思いやりを持って接していれば、そんな後悔をすることもないでしょうが……。

今作は、貧困の家に母と妹たちと暮らす天真爛漫な女・ジェルソミーナが、旅回りの大道芸人の男・ザンパノに金で買われます。ジェルソミーナはザンパノの芸の助手、身のまわりの世話、そして欲情のはけ口とされ、怯えながら日々を送ることになりました。

強靭な肉体だけが取り柄のザンパノは、鉄の鎖を胸に巻きつけて引き千切るといった荒業を見世物としている粗暴な男なのです。ボロボロのオート三輪で旅から旅へ……。やがて二人はとあるサーカス団に参加し、そこで陽気な若い芸人と出会います。ザンパノと若い芸人は事あるごとにいがみ合い、警察沙汰を起こして、二人共サーカス団を解雇されてしまいます。

若い男は、バイオリンでこころに浸みる曲を聴かせたりとジェルソミーナを優しく励ましますが、ある日、ザンパノは若い芸人を殴り殺してしまいます。ショックでジェルソミーナは情緒不安定となり泣き過ごします。もてあましたザンパノは、ジェルソミーナがうたた寝する間に置き去りにし彼女の前から消えてしまいます。

数年後、髪に白さも見えるようになったザンパノは港町に来ていました。気晴らしに散歩をしているとジェルソミーナの好きだった曲が耳に……。町の者にその曲のことを聞くと、数年前にこの土地に流れ来た身寄りのない女が口ずさんでいたと。そして、その女は死んだと聞いたザンパノはしこたま酒を飲み、フラフラと暗い海にやってきて、砂浜で大声を上げて泣きます。ザンパノは生まれてはじめて、心から悲しみにむせぶのでした。

時に知性は使い方で悪にもなり、それは心ではなく頭脳からの声を発することなのかもしれません。無垢な心をもったジェルソミーナに天使を映し、彼女を失った獣の心は浄化され真の愛を知ったのでした。

【作品情報】
・1954年/イタリア映画
・上映時間:115min
・監督:フェデリコ・フェリーニ
・音楽:ニーノ・ロータ
・出演:アンソニー・クイン、ジュリエッタ・マシーナ、リチャード・ベースハート

次ページは、『カッコーの巣の上で』です。
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