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感慨の恋愛映画10選:日本・アジア映画編(2ページ目)

映画史に残る名作ラヴストーリー(恋愛映画)のセレクト10の最後は日本・アジア映画編です。身近に感じられるアジア映画から、心に響く名作10本をお届けします。

執筆者:中野 豊

拝啓、藤井樹様。お元気ですか?
『Love Letter』

Love Letter
日本映画監督協会新人賞を受賞後、岩井俊二監督が初めて撮った劇場長編映画『Love Letter』
死んでしまった恋人の三回忌の日、今は国道になってしまったという昔彼の住んでいた小樽の住所に手紙を出してみることを思い付く博子(中山美穂)。届くはずのない一通のラブレターが同姓同名の女性に届いてしまったことから、埋もれていた二つの恋が浮きあがってゆきます。

甘酸っぱくて、切なくて……。それが青春、これが本物のラヴストーリー!最後の「図書カード」の逸話には何度観てもヤラれてしいまいます。近年日本映画の最も感動的な恋愛映画の秀作。

・1995年/日本映画
・上映時間:117min
・監督:岩井俊二
・出演:中山美穂、豊川悦司、酒井美紀、范文雀、中村久美、加賀まりこ、柏原崇

“定、吉 二人きり” 愛欲の極限 
『愛のコリーダ』

愛のコリーダ
ポルノではない、究極の愛の物語『愛のコリーダ』
■阿部定事件とは?
1936年5月18日、東京・尾久の花街にある旅館「まてき」で、男性の陰部が根元から切断されている死体が発見されます。死体の左腕に「定」、左股に「定吉二人」と血で書かれていました。捜査の結果、被害者は料亭の主人で、犯人は元芸者の阿部定(31才)と判明。阿部定は二日後の20日に品川駅前の旅館で逮捕されました。

阿部定事件が起るまでを描く本作は、性交・性器露出の場面が多く、当時の日本では大幅な修正が加えられ「ワイセツ裁判」にまで発展しました。

本作はポルノグラフィーとしての話題が先行してしまいましたが、強烈な情念のアート映画として映画史に刻まれ、オーシマ(大島渚)の名を世界に轟かせた傑作です。ノーカット版と謳われ7年前にリバイバルされた『愛のコリーダ2000』ですが、現在の日本ではまだボカシが入っています。

余談ですが、本作にインスパイアされた、クインシー・ジョーンズの名曲「The Dude(愛のコリーダ)」は世界的に大ヒットしました。

・1976年/日本=フランス映画
・上映時間:104min
・監督:大島渚
・出演:藤竜也、松田暎子、中島葵、芹明香、阿部マリ子

逢えない時間が愛を育てた蛍子の愛
『約束』

仮出所中の女囚 蛍子(岸恵子)と、逃走中の強盗犯 朗(萩原健一)は列車の中で偶然知り合い、明日のない二人は急速に心惹かれあいますが、蛍子は刑務所に戻る身。朗との再会を誓う蛍子は、刑期を終えた2年後に「約束」の公園で朗を待ちます。
朗がすでに逮捕されていることを蛍子は知りません……。

・1972年/日本映画
・上映時間:88min
・監督:斎藤耕一
・出演:萩原健一、岸恵子、三國連太郎

自堕落な男を愛してしまった、ゆき子の半生
『浮雲』

浮雲
黒澤明、小津安二郎らと並び称される巨匠・成瀬巳喜男監督の傑作恋愛奇譚『浮雲』
戦時下、インドシナで結ばれた男女が帰国。しかし、帰国した男(森雅之)には妻が居たのです。女を取っ替え引っ替えする自堕落な男に愛想を尽かし一時は娼婦となる女(高峰秀子)ですが、どうしても別れることが出来ません。逃避行のように屋久島へ行く二人なのですが……。

結ばれた二人が「くされ縁」という呪縛から、あり地獄にはまり堕ちてゆきます。悪い男と知りながらも地の果てまでも男を追ってゆく執念は、理屈を超えた全身全霊の愛なのかもしれません。日本恋愛映画史上の大傑作で、今回の10内No.1と言ってもよいでしょう。

・1955年/日本映画
・上映時間:124min
・監督:成瀬巳喜男
・出演:高峰秀子、森雅之、中北千枝子、岡田茉莉子

次ページは、これぞ往年の邦画と思う3作品です。
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