映画鑑賞は2時間前後の貴重な時間を割いてスクリーンを見つめ続けるという作業が伴います。そこに現れる俳優さんは、まず「うまい、へた」を問題にするべきかもしれませんが、観る側にだってそれぞれの美意識、好き嫌いがありますから、大画面に苦手な顔や生理的に耐えられない役者が出ずっぱりではキツイですよね。カッコいい男、タイプな男優が大活躍すれば、ボロンケチョンな物語でも良しとしよう、なんて妙な納得をすることもあります。

そこで今回は、「彼を見ていれば満足よ」と思わせるようなイケてるお顔のヨーロッパの名作映画の男優さんにスポットをあててみます。

映画史上最も美しい男の子
ビヨルン・アンデルセン

ビヨルン・アンデルセン
『ベニスに死す』のビヨルン・アンデルセンと、彼に釘付けのダーク・ボガート
イラスト:Koji Shiga
ビヨルン・アンデルセンの外見はカッコいいというより、少女マンガの主人公、もっと言えば色っぽい美少女のようです。
彼はたった1本の映画でその「お顔」を映画史に残しました。『ベニスに死す』です。

イタリアはリド島の高級リゾート「ホテル・デ・バン」で、タジオ(アンデルセン)はセーラー服や水着姿で現れ、中年男(ダーク・ボガート)を虜にします。大芸術家の中年男が、旅先で見かけた美少年に、老醜をさらしながらも恋焦がれメンタル面が崩れていくという、耽美と退廃の物語です。中年男をそこまで駆り立てたのは、美貌のタジオの存在があってこそ。

ある時、この世のものとは思えないほどの美貌の男の子に出会ってしまったら、胸の中が熱くなり、心臓は、時限爆弾が仕掛けられたような感覚に陥ることでしょう。本作は自制のきかない熱い想いがつのり、のたうちまわる男の姿を執拗にみつめた究極のラブストーリーであり、ヴィスコンティ監督の最高作と言ってもいいでしょう。

この傑作への出演以外にビヨルン・アンデルセンの姿をみたことはありません。彼はこの作品のためだけに探し出された一般人で、その後の映画出演を拒否したとも、映画ではなく舞台で活躍しているなど、様々な憶測・噂がとんでおりました。現在50歳を過ぎたころでしょうか。

【関連リンク】
ビヨルン・アンデルセン主演
『ベニスに死す』

フランス映画界のプリンス
アラン・ドロン

アラン・ドロン
『太陽がいっぱい』のいやらしいほど素敵なアラン・ドロン
イラスト:Koji Shiga
60年~70年代のアラン・ドロン人気の凄まじかったこと。美青年はどんな役柄でもファンの目を釘付けにしてしまいます。アラン・ドロン ファンの目からは共演者も大道具と変わらない存在だったに違いありません。アラン・ドロンの美しさが存分に生かされた作品の筆頭は『太陽がいっぱい』でしょう。その美貌故に、共演のモーリス・ロネに対する愛情と嫉妬心が薄らぎ、原作のトーン(男色の物語)から外れたことが功を奏し、結果的に完全犯罪サスペンス映画の傑作となりました。

アラン・ドロンが鏡の中の自分にうっとりするナルシシズム。シャツを脱ぎ捨て、ボートの舵をとるアラン・ドロン。ビーチのデッキチェアーに寝そべり、世界の幸福をひとりで掴んだように「太陽がいっぱいだ!」とうそぶく、いやらしいほど素敵な微笑。たまりません。

他には、『冒険者たち』、『サムライ』、『あの胸にもういちど』、『若者のすべて』など、アラン・ドロンを見ているだけでお腹一杯の名作は沢山あります。晩年、アメリカ進出に失敗してからパッとせず、「香水ブランド」としてしかその名を耳にしなくなってしまいました。

あやかり男優というと語弊があるかもしれませんが、アラン・ドロンのクローンのようなお顔をしているマルク・ポレルという男優をご存知でしょうか。ルキノ・ヴィスコンティ監督の遺作となった『イノセント』などに出演しています。そっくり顔のアラン・ドロンが存在しなければ凄い人気が出たかもしれないなぁと秘かに思っていた男優ですが、ドロンとの共演(『ビッグ・ガン』など)も多かったのです。

【関連リンク】
アラン・ドロン主演
『太陽がいっぱい』
『冒険者たち』
『サムライ』
『あの胸にもういちど』
『若者のすべて』

マルク・ポレル主演
『イノセント』
『ビッグ・ガン』

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