映画で見る熟年恋愛、それぞれの事情(3ページ目)

『阿弥陀堂だより』に見る病に苦しむ美智子の恋愛

2002年／日本映画／上映時間：128min／小泉堯史監督作品『阿弥陀堂だより』

東京に住んでいた孝夫（寺尾聰）と美智子（樋口可南子）の夫婦は、孝夫の故郷、信州奥信濃の田舎に移り住むことにします。美智子は医者でしたが、「都会のストレス」からパニック障害にかかり、仕事を辞め、信州の山村に癒しを求めてやってきます。

山奥で夫婦が会うのは、山間に建つ阿弥陀堂で暮らしているおうめ婆さん（北村谷栄）です。悟りを開いた仙人のようなおうめ婆さんに美智子を会わせるために孝夫はこの田舎町にきたのだと思います。

ゆったりとした、奥信濃の町が競争社会の荒波から妻を救い、精神の再生をはかったのです。美智子は少しずつでも確実に生きる自信と仕事に立ち向かう気力を回復させていきます。夫婦の愛情が、生きることの意味を教えてくれる、本作は究極のラヴストーリーでしょう。

いつも横に居る連れ合いが疲れていた時、そっと『阿弥陀堂だより』を思い出してください。



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