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ハッピー!最高!おすすめミュージカル映画10選

映画のジャンルの中で最もエンタメ性の高いミュージカル映画! 音楽、ダンスでノリまくって脱日常! オールタイムのセレクト10シリーズの第3弾は映画史に刻まれたミュージカルの名作をお届けします。

執筆者:中野 豊

ミュージカルは最高に楽しい映画ジャンル

ミュージカル映画の「オールタイムのセレクト10」を紹介します。前回のセレクト10の「ドキュメンタリー映画」は事実をフィルムに収める究極のリアリズム映画ですが、それとは対極にある「ミュージカル映画」は、突然人が歌い出したり、踊り出すという、リアリズムとは縁遠いけれども、最高に楽しい、特異な映画ジャンルです。「ミュージカルは苦手」という方も一度名作を鑑賞してみれば、ハマってしまうかもしれませんよ。


ミュージカル映画の入門編
『ザッツ・エンタテインメント』シリーズ

10選の1本目は、MGM映画の数々をナビゲーター(フレッド・アステア、ジーン・ケリーなど)が解説・回想するミュージカル映画の名場面集で、映画ジャンルとしては対極の「ドキュメンタリー映画」とも言える、硬軟2極合体のハイブリッド映画のPART1~3を紹介します。

PART1(1974年/監督:ジャック・ヘイリー・ジュニア)
『風と共に去りぬ』をはじめとしたハリウッド黄金期(30~50年代)に君臨したMGM映画の傑作ミュージカル作品を中心に綴ったこれ以上望めないと思う名場面集。トーキー映画創成期から1958年の『恋の手ほどき』に至るまで、その間に作られた75本のMGM映画を中心に構成した作品です。


PART2(1976年/監督:ジーン・ケリー)
ミュージカル映画の名シーンだけでなく、コメディやドラマからの名場面が拾われています。収録映画75本。ビング・クロスビーの最初で最後の歌まで聞けます。


PART3(1994年/監督:バド・フリージェン、マイケル・J・シェリダン)
ネタ尽きぬMGMミュージカルの魅力を見せる第3弾。これでもか!と出てくるお蔵入りナンバーの数々に胸躍らせ、お馴染のシーンのアウトテイクを見せてくれたり、舞台裏も覗かせてくれたり、ファンには堪えられない楽しさです。



エレガントなダンスにうっとり『トップ・ハット』

映画史上にその名を残すダンサー、フレッド・アステア主演作品から2本紹介します。1本目は、アステアとの最高のダンスパートナーでありミュージカル映画のミューズ、ジンジャー・ロジャースとの共演作です。

ロンドンに招かれたアメリカ人ダンサー、ジェリー(フレッド・アステア)は、興業主のハードウィック(エドワード・エベレット・ホートン)とホテルの部屋で打ち合わせ中にダンスを実演してみせたため、階下の部屋に泊まっていたデール(ジンジャー・ロジャース)が苦情を言いに来ます。たちまち彼女に惚れてしまったジェリーですが……。

・1935年/アメリカ映画
・上映時間:99min
・監督:マーク・サンドリッチ
・出演:フレッド・アステア、ジンジャー・ロジャース、エドワード・エヴェレット・ホートン


底抜けに明るくて、お洒落なミュージカル『イースター・パレード』

選りすぐりのアステア主演作からのもう1本は、『オズの魔法使い』のジュディー・ガーランドとの共演作です。

益々磨きのかかったアステアのエレガントなダンスと、キュートなジュディ・ガーランドのダンスはもちろんのこと、二人の演技も素晴らしい! 恋敵のアン・ミラーのタップにも魅せられます。アステアのフィルモグラフィー中期の珠玉の一篇。ジュディ・ガーランドが「君と踊るときだけ」をピアノを弾きながら歌う一連のシークエンスは胸に迫ります。

・1948年/アメリカ映画
・上映時間:103min
・監督:チャールズ・ウォルターズ
・出演:フレッド・アステア、ジュディ・ガーランド、ピーター・ローフォード


アステアの次はこの人です。MGMミュージカルの「体操のお兄さん」ことジーン・ケリー主演の2本と、元気なアクロバティックな1本を!

豪華セットと原色映像で魅せる『巴里のアメリカ人』

エレガントなフレッド・アステアに対して、力強いダンスで観る者を圧倒する、もう一人の天才ダンサー! ジーン・ケリーの主演作2本を紹介します。

パリに住む画家志望のアメリカ人ジェリー(ジーン・ケリー)がモンマルトルで個展を開きます。個展に訪れた大金持ちのアメリカ人女性のミロ(ニナ・フォッシュ)はジェリーの絵を気に入りパトロンになります。ある日ミロに連れられキャバレーに行ったジェリーは、清楚なパリジェンヌのリズ(レスリー・キャロン)を見初めるのですが……。

ガイドお気に入りNo.1ミュージカルは、ジョージ・ガーシュウィンの楽曲「パリのアメリカ人」を主題に、全編原色の豪華セットで魅せる1951年度のアカデミー賞8部門に輝いた傑作。

・1951年/アメリカ映画
・上映時間:113min
・監督:ヴィンセント・ミネリ
・出演:ジーン・ケリー、レスリー・キャロン、オスカー・レヴァント


Singing in the rain♪ 『雨に唄えば』

ミュージカル映画の一等賞は本作だ! という映画ファンも多いと思います。「ララランランララ、ララランラン singing in the rain……」映画をご覧になっていない方でも、この楽曲はどこかで耳にしていることでしょう。雨の中で歌い踊る「あの場面」は映画史に残る名シーンです。

映画がサイレントからトーキーへ移行期のハリウッドの舞台裏を描いたドタバタがめちゃくちゃ可笑しくて、楽しくて、共演のドナルド・オコナーのパフォーマンスも素晴らしい一篇! これぞ本物のミュージカル映画!

・1952年/アメリカ映画
・上映時間:102min
・監督:ジーン・ケリー、スタンリー・ドーネン
・出演:ジーン・ケリー、デビー・レイノルズ、ドナルド・オコナー、シド・チャリシー


アクロバティックなダンスにびっくり『掠奪された七人の花嫁』

1850年代のオレゴン州の山中を舞台に繰り広げられる、ダイナミックな群舞が迫力満点の本作は、初期のシネマスコープ画面(1対2.35比率と横に長い)を見事に使いこなしたマイケル・キッドの振り付けが抜群!

スーザン・ストローマン振り付けによる舞台「クレイジー・フォー・ユー」に影響を与えてた作品とも言われています。

・1954年/アメリカ映画
・上映時間:102min
・監督:スタンリー・ドーネン
・出演:ハワード・キール、ジェーン・パウエル、ラス・タンブリン、トミー・ロール


次は、往年のMGMミュージカル映画から一新。ミュージカル映画の新たな歴史を作り出した傑作4本を。

ニューヨークを舞台にした、唄って踊るロミ&ジュリ
『ウエスト・サイド物語』

シェイクスピアの戯曲「ロミオとジュリエット」を下敷きに創り上げた映画史上に燦然と輝くミュージカル!

ミュージカル映画が「セットから街に出た」エポックメイキング。出演者の芸や豪華な衣装、セットで魅せるのではなく、画面の構図、編集の切れ味で勝負する、新感覚ミュージカル映画の登場はMGMの終焉をおもい、同時にミュージカル映画の新しい夜明けを告げました(ミュージカル映画というジャンルにとって良いことなのかは疑問ですが……)。

アニタ役のリタ・モレノがアカデミー助演女優賞、当時日本で人気がでたジョージ・チャキリスも助演男優賞。その他、作品、監督、撮影、美術、音楽、音響、編集、衣裳デザインとオスカーを10個獲得しました。

・1961年/アメリカ映画
・上映時間:152min
・監督:ロバート・ワイズ、ジェローム・ロビンス
・出演:ナタリー・ウッド、リチャード・ベイマー、ジョージ・チャキリス、リタ・モレノ、ラス・タンブリン


可愛くて楽しいディズニー・ミュージカル『メリーポピンズ』

ディズニー映画から1本と考えると『ファンタジア』から『ライオン・キング』や『アラジン』まで、アニメミュージカル映画がどんどん頭に浮かんできてしまうので、今回は純粋なアニメーション映画は外して、実写とアニメの合成ミュージカルの本作を紹介します。

空からやってきたメリーさんがある一家の子供たちの世話をします。「スーパーカリフラジリスウティックエキスピアリドーシャス」を唄うとあらあら不思議、散らかり放題の子供部屋がきちんと片付いてしまいます。「チム・チム・チェリー」など15曲のナンバーにウキウキの楽しいミュージカル・ファンタジー。

・1964年/アメリカ映画
・上映時間:140min
・監督:ロバート・スティーヴンソン
・出演:ジュリー・アンドリュース、ディック・ヴァン・ダイク、デヴィッド・トムリンソン


ダンスに賭ける青春群像『コーラスライン』

日本でも上演された、人気ブロードウェイ・ミュージカルの映画化の本作のメガホンを取ったのは『ガンジー』で名を高めたリチャード・アッテンボローです。

マーク・ヘリンジャー劇場にカメラを入れて多方向からのカメラアングルで「オーディション」の進行を映し出します。前ページまでに紹介した「MGMミュージカル」とはまったく性格の違う「踊りと歌」を挟んだ過酷な競争社会を描いた人間ドラマです。

・1985年/アメリカ映画
・上映時間:118min
・監督:リチャード・アッテンボロー
・出演:マイケル・ダグラス、アリソン・リード、マイケル・ブレビンズ


愛の新世紀ミュージカル『ムーラン・ルージュ』

遂に出てきた新世紀ミュージカル映画。役者の踊りや時代の楽曲で魅せた往年のミュージカルの再現は不可能と考えたのか?バズ・ラーマンは、1世紀前のパリをCGで再現し、主演のユアン・マクレガーとニコール・キッドマンに吹き替えなしで唄わせ、出てくる曲はマドンナあり、エルトン・ジョンありで、時代考証が無茶苦茶ながら観客はノリノリで、ダンス芸の代わりにめまぐるしいカメラワークで躍動感を出しました。

数多く往年のミュージカルを観てきた方もきっとびっくりしたことでしょう。私も感心を通りこして感動で身ぶるいしました。

・2001年/アメリカ映画
・上映時間:128min
・監督:バズ・ラーマン
・出演:ニコール・キッドマン、ユアン・マクレガー、ジョン・レグイザモ、ジム・ブロードベント


今回ガイドの選外でも、熱狂的ファンが多かったり、映画史的にも重要な「MORE10」(1960年代以降の作品より)を記しておきます。未見の方は10選とあわせてご覧いただきたいミュージカルの名作群です。


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