◆青春といえば…◆
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お話は大盛り上がり |
―南:青春って言葉がでましたけど、監督の青春と重なるところとかあるのでは? 例えば、ジェイさんの演じたリーは裸になってタイムズスクエアで…ってありますよね。
ジェイ・ウエスト:(笑)
園監督:あ、ええ…多少。自分のバカな部分を3つに分けたって感じかな(笑)。リーは『ワイルド・バカ』、で、深水くん(タケダ役)は『ピュア・バカ』?
ジェイ・ウエスト:そうだね。ピュアだね。
園監督:(笑)シンは『素朴バカ』っていうか『オクテ・バカ』。そういうバカが自分の中にあるんで、それを極端にデフォルメしていった結果出来上がったキャラクター。ただリーの『ワイルド・バカ』は自分はあそこまでバカじゃないけど……。
ジェイ・ウエスト:ちょ、ちょっと、ちょっと。
園監督:それにタケダほどピュアでもないし……。人生の一時期はピュアだった頃もあったわけで、まあ、いろいろ。
ジェイ・ウエスト:いろいろね(意味深な笑い)
◆魅力ある3人のキャラづくり◆
―南:その『ワイルド・バカ』って言われてしまったリー役に決まった時と、実際に演じてみていかがでしたか。
ジェイ・ウエスト:役が決まった時はアドレナリン全開の興奮状態でしたね。気合い入りまくっていたし、リハーサルでは結構大げさに演じていたぐらい。でもニューヨークに行ってから『もうちょっと落ち着いたクールな感じにしてみよう』と思って……そうしたら監督が「ペシになれ」って。
園監督:ジョー・ペシね。
ジェイ・ウエスト:そう言われて、あーそういうことかって役を理解した。たまに目立ちすぎだな、って自分でも思ったんだけど……。
園監督:(大笑い)
ジェイ・ウエスト:でも、あの時は、あれで良かったんだと。
園監督:(前から続いて、ひたすら笑い)それでいいんだよ。僕の映画って、いつもそうだけど『メインをサブがくう』っていうのが好きなの。好きな映画もそう。だいたい『グッドフェローズ』でも(ロバート・)デ・ニーロよりもジョー・ペシの方が圧倒的に存在感があるでしょ。そういうのは絶対にいい映画なんだよ。だって面白い人が目立って何が悪い。そのほうが映画は面白くなるわけだから。それは、しょうがないよ。映画のために。
―南:時間の経過と共に、どんどんリーに引き込まれていきました。
園監督:そうそう。例えば、キャンバスに夫人像を描いていたとして、背後に海を描いたらなんか海のほうが好きになっちゃって。海が大きくなって、ご夫人がどんどん消えていって、気がついたらご夫人がいなかった。あれっ、みたいな(笑)。
ジェイ・ウエスト:Oh, No.
園監督:ピカソの言葉に面白いのがあって「普通の画家は面白いモチーフがあったら、その後には描きたくないものを描いて耐える」んだって。でも「そんなくだらない事はやっちゃいけないこと」だって。「オレは海も、女も、虎も、ネコも好き。だったら全部キャンバスに入れて、あとはヨロシクやってもらうよりしょうがない」って言ってるんだ。「ヨロシクやってもらう」っていうのは、例えば虎が女を食べちゃったとしても、しょうがねえやってこと。
ジェイ・ウエスト:ナイス。
『HAZARD』園監督&ジェイ・ウエスト単独インタビュー【3】へ
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