中田Pの愛用の拳銃?
博士:私にとってそんな中田Pの魅力は超売れっ子Pながら「実際作ってる」って匂いがする点です。 今までの売れっ子Pだと作戦司令室みたいな設備を見せびらかすのがお決まりでしょ。 きっとあのシンセを管理するだけでも何人もアシスタントがいるんだろうなとか。きっと司令官であるPの仕事はコンセプチャルな部分だけなんだろうな~みたいな距離感が有りました。
先生:
確かに、外部委託は編曲しかクレジットされていないのに、実際には作曲も発注しているんじゃないみたいな疑惑曲は、特にアイドル系には多いですからね。
博士:
ところがあのスタジオでしょ。まるで愛用の拳銃を見せられたみたいな生々しさ。本当に使ってる武器!って実感は宅録マニアにはたまりません。使用ソフトはCubaseらしいですが、人気のソフトですがあくまでコンシュマー用。MIDI環境としてはプロ用としても全く問題ないのですが生声や生楽器を取り込む従来のクリエーターの場合、ADコンバート時点でのクオリティーを考えると好む好まざるの関係なく、プロツールズに走らざるを得なかったのがプロの宅録の現状でありプロで通用するローコスト化の限界でもありました。
ところがソフトシンセのみを使用し、声もファインチューン前提でそのままPC内でMIXまで終わらせるのであればあの設備で実際全く問題ないのです。マイクなんてAKGの私の愛用しているののと同じモデルですからね。でも、マスタリングは最近はレコード会社でやってるようにも思います。
PV集で「ビタミンドロップ」以前のPVを見ると、ほんの少しですが音が引っ込むんです。インディーズ時代は中田PがPCでマスタリングまでやってたのかも知れません。 しかし一連のこの流れは画期的な事なんです。宅録がプリプロの枠を超えてパンカケまで行ってしまう。彼の仕事の速さの秘密はここにあるんです。
先生:
たしかにあのちっちゃなブースで一人一人ヴォーカル取りをしているのというのは、リアル感があります。博士もあんなブースぜひ作ってください。
助手:
これは非常に穿った見方になってしまいますが、すべて最後まで中田ヤスタカが1人で作りこめることで、コンセプトやカラーがブレることなくコンスタントに作品をリリースしていけますが、逆に言うとそこには化学反応的なものが期待できない。現体制で今のところ何ひとつ問題はないですが、長い目で見たときにはヤスタカサウンド+α的な外的刺激が必要なのかもしれません。それは中田Pのキャパオーバーというネガティブな要因からではなく、あくまで前向きな実験という位置づけで。
先生:
『CUTIE CINEMA REPLAY』の時は、capsuleでもいろいろコラボをやっていましたが、最近はcapsuleのリミックスでさえ全部自分でやってますからね~。僕はまだ早いと感じていますが・・・やるとしたら、ワールドワイドにSoulwaxとかRoyksoppとやって欲しいです。
Smafume
博士:さてPerfumeですが最近はメディアへの露出・・・いや、秘めていたモノをこっそり見せる“露出”なんていう表現が似合わないほどお目見えが頻繁になってきました。
先生:
そうそう、スマスマでPerfumeがSmafumeとしてSMAPとコラボした「夜空ノムコウ」のリミックスも中田Pがやったみたいですね。
博士:
「あれ?これは局サイドで用意したオケじゃないな?」とピーンときましたね。「夜空ノムコウ」のイントロで「ポリリズム」とマッシュアップしてるあたりなかなかやりますね。その次の週ではなんとSMAPが逆に“Percume”なんてやってましたからね。饒舌で独壇場のあ~ちゃんのモノマネまでしていました。
助手:
天下のSMAPにモノマネしてもらえるなんて、これはすごいことですよ。国民的認知度を得たんだなあと、あらためて実感できる瞬間でしたね。