聴いているうちに・・・
博士:所がしばらくして深夜、頭の中を一つの言葉がぐるぐると渦巻いて、思わず目が覚めてしまってんです。
♪紅鯨~♪紅鯨~
って・・・
先生:
やはり来ましたか? のっちも言っていた覚醒ですね。
博士:
なっ何なのですか!! これは!!
先生:
所謂、するめ曲ですね。するめの中でも最もおいしいとされる一番するめ。かしゆか、のっち、あ~ちゃんの順番で歌っていますが、あれはじゃんけんで決めたとか・・・結果としてこれしかないと言うパート割りになっているのが不思議です。
博士:
確かにそうですね。この曲には実に曖昧な所にツボがあるんです。 以前の楽曲分析で提示したポイントですが・・・例えば~必ずブレス(息継)を入れる~と言うのも、私の思い過ごしかと思っていましたが、「紅鯨(Baby cruising Love)」では全く必要ない曲末にわざわざ入れて来ました。即ち、本当にブレスノイズは作為的に入れていたわけです。同等に「紅鯨」では前回の指摘が解りやすい形で露呈しはじめてますね。大サビでコードに変化を付けると言う、中田節では余りしない手法が使われていますね。
先生:
終盤に盛り上がりを見せる展開。いい感じで焦らしてくれますね。これはTVのライヴではショートエディットなので再現されていないのが残念です。メビウスの輪のような不思議な循環するパワーを持った曲ですね。ダンスはどうですか?
博士:
先ほど述べた“曖昧な所にツボ”と言うのが特にダンスに顕著です。PVでは光のイメージと交差してはっきり見れないのですが、例えば~頭クラクラダンス~舟漕ぎダンス~水泳ダンス~という目まぐるしい変化がAメロまでのさして印象的でもない間奏内で繰り広げられます。それぞれわずか1小節程度の短い、しかもかなり緩いポーズなのですが、まるで真綿で首を絞められる様に気が付いたら臨界点をはるかに越えてしまっています。歌詞同様、もう私には引き返せません。
「マカロニ」のBPM
先生:両A面扱いですが、カップリングの「マカロニ」も僕は評価しています。先ずは「マカロニ」というタイトル。これは木の子が作詞した「スウィートドーナッツ」に始まる(その後、「ビタミンドロップ」「チョコレイト・ディスコ」)食べ物に例える、つまり擬人化ならぬ擬食化している歌詞です。
楽曲としては、“まろやかな切なさ”があってなんだかジーンとします。この傾向は、「モノクロームエフェクト」そして「wonder2」からの遺伝子を受け継いでいるからだと考えます。エンディングも派手ではありませんが、「紅鯨」と同様に終盤に盛り上げる展開で秀逸です。
助手:
驚いたのはBPMが100くらいだったこと。最近の中田ヤスタカの曲はだいたいBPMが128くらいで、「ポリリズム」も「Baby cruising Love」も128なんですが、「マカロニ」は100。テクノ/ハウスというより、R&BとかHIPHOPに多い早さですね。最初聞いたときJamiroquaiやPharcydeを思い浮かべたくらいです
博士:
ロードムービーみたいな映像がぴったりだナァ・・なんて思っていたら、その通りの8mmフォルム風のプロモーションがある様ですね! 番組のエンディングで大貫妙子あたりが歌ってそうな曲ですが、実際、番組エンディングでも使われているらしいですね。 まさに“イメージ”がはっきりと映像になる楽曲です。
先生:
犬の散歩しながら聴いていると、とてもしみじみとした気持ちになりました。やっぱりBPMが犬の散歩の速度に合うのかなぁ?
博士:
両曲ともいい意味での期待はずれから新しい魅力へとつながるポテンシャルを露呈した楽曲と言えるでしょう。 YMOで言うなら『BGM』のようなスタンスですね。
近年、一発ヒットの後は同傾向の楽曲で一気に稼いでしまおうとする傾向が強い中、「ポリリズム」がヒットしたとは言え、まだ一部でのスマッシュヒットにとどまった点でも、まだまだ試行錯誤できる段階です。 大ヒットはこれから来ますよ!!