さて、その他のデヴィッド・モーション関連作を紹介します。
ストロベリー・スウィッチブレイドの「ふたりのイエスタディ」でプロデューサーとして開花したデヴィッド・モーションですが、彼がそれ以前にプロデューサー兼エンジニアとしてCherry Red所属のSwallow Tongueのアルバム『A Stain Upon The Silence』(1983年)を手がけています。モーションのインディー・レーベル、Crystal Groove Recordsも絡んでいるようです。トリオ構成で、ラヴィニア・グリーンロウという女性のヘタウマ系ヴォーカル。内容は、フェイクジャズ的ニューウェイヴ・ファンクといった物ですが、まだモーションの過剰アレンジの兆候は無い。ちょっと悔しい。
マドンナに憧れて芸能界入りしたらしいアメリカの男性アイドル、トミー・ページのファースト・アルバム『Tommy Page』(1988年)。このアルバムは、「A Shoulder to Cry On」の小ヒットにより本国よりもアジアで人気がありました。何故買ったのか? デヴィッド・モーションが、「I Think I'm In Love」「Hard To Be Normal」「I Love London」の3曲をプロデュースしているからです。全体的にAOR度が高いですが、「I Love London」などにはデヴィッド・モーション・テイストが感じられます。セカンド・アルバムに収録の「I'll Be Your Everything(数え切れないKISSたち)」が、全米1位になった割りに知名度の低い人です。
デヴィッド・モーションが、ホーム・サーヴィスという二人組バンド以来、ミュージシャンとしてクレジットされたのが、1993年に公開された映画『Orlando(オルランド)』のサントラです。この映画の脚本・監督を務めたサリー・ポッター(Sally Potter)との共同名義です。ポッターは、他に『Tango Lesson(タンゴ・レッスン)』(自らも主演)、『The Man Who Cried(耳に残るは君の歌声)』などの脚本・監督をしています。映画『オルランド』は、16世紀末のイギリスのエリザベス朝にて男性から女性になった不老の美貌の貴族(「A Change Of Sex」という曲もあります)、オルランドの物語。元ブロンスキー・ビート、そしてコミュナーズのジミー・ソマヴァイル(彼も映画に歌手として出ています)が歌う「Coming」(サントラには、ハウス系の「Deep Mix」を含めて3ヴァージョン収録)以外は、ほとんどインストですが、正規の音楽教育を受けたモーションだなと思わせるクラシカルな作品。