不思議ちゃんの権威、ケロッグ博士は、実在する元祖不思議ちゃんとして、水森亜土を提唱してくれました。70年代には歌うイラストレーターとして一世を風靡し、よくテレビでお目にかかった覚えがある。ピチカート・ファイヴへのトリビュート・アルバム『戦争に反対する唯一の手段は。』(2002年)では、『皆笑った』を歌ってくれました。
どちらの芸歴が長いのか分かりませんが、僕はムーミンの声でおなじみの岸田今日子をもう一つの元祖として提唱します。面白いことに、彼女もPIZZICATO FIVE featuring KYOKO KISHIDA名義でシングル『PORNO 3003』(1997年)をリリースしています。小西康陽は、二人の元祖不思議ちゃんとつながっています。
ケロッグ博士は、黎明記の70年代では谷山浩子とか太田裕美(少年時代はまっていたらしい)を挙げています。太田裕美と言えば、松本隆が詞を書いた『木綿のハンカチーフ』のイメージが強いですが、テクノ歌謡的なアルバムも2枚『I do, You do』(1983年)と『TAMATEBAKO』(1984年)出しています。
ジャケットからも察しがつくかもしれませんが、ニューウェイヴ化した太田裕美。両アルバムともチャクラの板倉文が参加しています。
また、ケロッグ博士は、矢野顕子〔ジャケ写はシングル『春咲小紅』(1981年)〕をやっと出てきた真打不思議ちゃんの第1号として位置づけています。天才肌の不思議ちゃんですね。