ジャズレジェンド・高柳昌行の言行録
高柳昌行『汎音楽論集』 「コルトレーンなんて歌謡曲なんだ」「聴衆にも(音楽家と)同レベルの聴取能力が求められるのは当然のことである」など、音楽活動と並び過激な言論活動を行った高柳昌行の言行録。 |
昨年12月に月曜社より発行された『汎音楽論集』(高柳昌行著)は、1991年に亡くなった高柳の生前の執筆物をまとめたものである。演奏の過激さと同じく、舌鋒鋭く音楽家、批評家はもちろん、マスコミやレコード会社、一般聴衆まで含めた批評を展開した高柳。本書では、スタンダードなアプローチからフリーフォームまで、本当に幅広く、深い音楽活動を貫き通した高柳の「思想」に触れることができる。
基本的には、研究家、あるいは音楽マニア向けの書籍であり、あまりガイドサイトでご紹介するにそぐわない内容ではあるのだが、いろいろと現在の音楽シーンに照らし合わせて思うところがあったので、ここではあくまで本書の「書評」として、音楽を取り巻くさまざまな問題を取り上げてみたい。
次ページでは、高柳の主張を要約してみます