ゲームサウンド制作は映画サウンド制作とほぼ同じ工程
--先ほど5.1chという話がありましたが、現在のゲームはみんな5.1chなのですか?祖堅:国内ではかならずしもみんなが5.1chを使う環境にはありませんが、すでにハードはそれに対応しています。またゲームはグローバルな時代を向かえており、海外では5.1chがスタンダードとなってきているため、音のリソースは5.1chで制作することが主流となってきています。また、現在のゲームはDVDやBlu-rayのディスクから直接映像や音を流す方式となっており、これをストリームと呼んでいます。それを5.1chで流すわけですから、映画を作るのとまったく変わらない作り方をしているのです。そのため、ミックスをハリウッドのスタジオに頼むこともよくあるんです。
--確かに、国内には5.1chのミックススタジオってあまりないですよね。
祖堅:そんなわけで、ミックスを社内で行うこともあります。ここは、そのためのスタジオでもあるのです。しっかりしたサラウンドの再生環境を確立するためにTHX pm3という音響スタジオ規格に準じたスタジオにしてあるのです。もっとも、社内には5.1chに対応できるミックスのプロがあまりいないので、外部のエンジニアに来てもらって作業するケースもよくあるんですよ。
細かな波形編集や、数多くの作業を効率的に行うのに活用しているというSound Forge |
祖堅:作業内容によって、また人によって違うのですが、SEの場合はSoundForgeを中心にProToolsを使ったり、Vegasを使ったりしています。また、各々のリソースを作るのにCubaseなどのDAWも使っていますね。一方、BGMに関してはみんなバラバラで、Cubase、DigitalPerformer、Logicを使っている人もいるし、ちょっと前までは、レコンポーザを使っている人もいましたよ。
--強いていえば、どんな使い分けになっているのですか?
祖堅:弊社スタジオの機材がProTools主体となっているため、ボイスを録ったり、フォーリーを録るのにはProToolsを使っています。そのため、最後までProToolsで作業するという人もいるし、そこから先はVegasやSoundForgeを使う人もいます。細かな波形編集作業をしたり、似た作業を繰り返す場合には、SoundForgeが大きな威力を発揮してくれますね。
マルチトラックのDAWとして活用しているという、Vegas Movie Studio |
祖堅:Vegasは映像とシンクロさせるのにも便利だし、何よりマルチトラックのDAWとして効率的に使うことができますよ。そのため、当社においてマルチトラック環境での作業をMacで行う場合はProTools、Windowsで行う場合はVegasにしているケースが多いですよ。
--本日は、普段聞くことができない面白いお話をいろいろありがとうございました。今後、ゲームサウンドを聴く際、祖堅さんのお話を思い出しつつ、心して耳を傾ける必要がありそうですね(笑)。ぜひ、これからもいろいろと教えてください。
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