音声合成エンジンはネットの向こう側に
Windows版と比較すると、機能的には限定されていますが、なぜこれだけのことが携帯電話でできるのでしょう?
すでにWindows版のVOCALOID2を使っている方ならよくご存知だと思いますが、これらのソフトには声優さんによる歌声のデータが収録されており、インストールにもDVD-ROMを利用するなど、データ容量もかなり大きくなっています。一方、音声合成に用いる演算もそれなりのパワーが要求され、あまり古いパソコンなど動作させるのが困難になる可能性もあります。
考えても分かるとおり、携帯電話には何GBにもわたるデータをインストールする容量はありませんし、アプリケーションが動くとはいっても、そこに搭載されているCPU処理速度はPCのそれとは比較にならないほどの低演算能力です。
でも、それを実現できるというのは、仕掛けがあるからです。そう、手元の携帯電話は入出力を行うだけであり、ネットの向こう側にあるサーバーで音声合成処理を行っているのです。
バックグラウンドにあるヤマハのNetVOCALOID
ヤマハがサービスプロバイダー向けに提供するネット上の音声合成エンジン、NetVOCALOID。※画面はY2 PROJECTサイトより |
NetVOCALOID
という技術です。これまで、各種イベントのヤマハブースでデモなどが行われていたためご存知の方もいると思いますが、サーバー上で音声合成処理を行う仕組みを携帯電話用にサービススタートさせたのが、「ミクと歌おう」や「ケータイがくっぽいど」というわけなのです。
残念ながらこのNetVOCALOIDは一般に直接開放されているわけではなく、いわゆるBtoBtoCのサービス。つまり、エンジンはヤマハから企業(ここでいうクリプトン・フューチャー・メディアやインターネットなど)に提供され、それを一般ユーザーが利用する形になっているのです。
逆にいうと、今後他社がこうしたNetVOCALOIDを利用したまったく新しいサービスを展開してくる可能性もあるので、その辺も楽しみにしたいところです。
まずは、携帯を利用したVOCALOIDの世界を楽しんでみてはいかがですか?
【関連サイト】
ミクと歌おう
ケータイがくっぽいど
Y2 PROJECT
NetVOCALOID