「今、遠方にいていっしょにレコーディングができないため、彼のテイクはまた別の日に」、「海外のミュージシャンに参加してもらいたいけれど、旅費や日程の都合がつかなくて」……、そんな問題を解決してしまう画期的なシステムが登場しました。インターネットを利用し、遠隔地にいるプレイヤーの演奏をそのままリアルタイムにレコーディングしてしまう、というものです。ドイツ生まれで、間もなくサービスが開始され、しかも誰でも無料で利用可能というdigital musican link(以下DML)について、実際にレコーディング現場を見てきたので、レポートしてみたいと思います。

ネットの向こうの演奏をリアルタイムにレコーディング


digital musician link
海外とでもタイムラグなしで、ビデオチャットのようなやりとりができる
DMLはVSTのプラグインとして動作し、インターネット経由で2つの場所をP2Pで接続するシステムです。これにより、遠隔地にいるミュージシャンが演奏した音をCubaseやLive、LogicといったDAWでそのままレコーディングできてしまう、これまでにない画期的なシステムです。もちろん、オーディオでもMIDIでもOKで、リアルタイムにネットの向こうにいる人の演奏がレコーディングできるというのはちょっと驚きでした。


このDMLというプラグインを双方にインストールした上で接続すると、ちょうどビデオチャットのような状態になります。相手の顔がディスプレイ上で確認でき、マイクで話かければ電話のようにやりとりが可能です。まあ、電話というよりも、レコーディングスタジオのスタジオ側とコントロールルーム側といった感覚のほうが近い感じです。その後、ビデオチャットでセッティング状態をお互いに確認した上でレコーディングボタンを押せば、先方の演奏が完全に同期が取れた状態で、レコーディングでき、リアルタイムにモニタできてしまうのです。

ネットの向こう側と完全同期


digital musician link
digital musician netの日本支部でドイツと同期してのレコーディングの実際を見せてもらった
このDMLを開発したのはドイツのdigitall musicanという会社。先日、その日本支部に伺ってデモを見せてもらったのですが、かなり不思議な感覚でした。というのも接続先は、ドイツ本社なので、まさに地球の裏側。まず、そこと電話よりキレイな音声でリアルタイムにビデオチャットができている時点で、すごいと思ってしまったのですが、本当にすごいのはここから。


「とりあえず、レコーディングの練習のため、メトロノームがなるように設定して」と向こうに伝えると、すぐにOKの返事。「じゃあ、テンポ100で録るから、ギターのセッティングをお願い」というと、向こうが演奏するギターの音が手元にモニタから聞こえてくる。「じゃあいくよ」とレコーディングボタンを押すと、向こうも同期して動き出したようで、クリックに合わせてドンピシャな音で演奏され、そのままトラックにレコーディングされてしまったのです。

あまりにもスムーズな動きに、「え?本当か?」と目の前の出来事を疑ってしまうほど。試しにドイツ側でプレイボタンを押してもらうと、すぐに手元のCubaseSXも動きだし、テンポを動かせばそれにも追随します。