同期の秘密は一方通行と、タイムコード
|
完全に同期し、レイテンシーなどもまったくない形でドイツの音がレコーディングできた |
手元のオーディオインターフェイスのレイテンシーだって大きい問題になるのに、どうしてインターネット経由での音にレイテンシーやズレが生じないのでしょうか?最初に感じた疑問はそこでしたが、その秘密は、レコーディングは一方通行である、ということにありました。つまり、DMLでは、必ずプレイヤー側とレコーディング側という1:1の関係であり、双方で同時に演奏し、レコーディングするということはできないのです。確かにビデオチャットでは双方向通信になっているけれど、レコーディングにおいては一方通行なのです。
そして、送られる音声信号にはタイムコードが埋め込まれているため、お互いがドンピシャで合うようになっているのです。先ほどの例では、お互いクリックを聞いているだけなので、実際には時間のズレがあっても、手元では完全に同期が取れていたわけです。
オーディオデータはお互いに転送できる
|
今回、ドイツとの接続のデモをしてくれたdigital mucician日本支社の伊藤 仁さん |
でもクリックだけでは本当の意味でのレコーディングはできません。でも、P2Pでつながっているわけですから、それを解決する方法はいろいろあります。先ほどDMLではプレイヤー側とレコーディング側に分かれるといいましたが、この立場をひっくり返すことは可能です。通信速度などの問題から、同時に送れるのは左右2chが限界となっていますが、こちらの各トラックの音を2chにミックスしたものを、そのまま先方に流し、向こうでいったん録音してもらえば、こちらの全トラックをモニタ可能となるわけです。
また、手間を惜しまなければ1トラックずつ、送っていってもいいでしょう。その際、同期は完全に取れるので、トラック間で音がズレるという心配はありません。また、DMLにはファイル転送の機能もあるので、ファイルとして送り、それをトラックに貼り付けてもらうというのも手でしょう。実際、こちらは光接続、ドイツはADSLという回線状態でしたが、10MBのデータを転送するのに数分で送れたので、速度的な不満はまったく感じませんでした。