そこで登場してくるのがDVDビデオというわけなのです。確かにDVDオーディオでもいいのですが、やはり普及度の問題などから考えるとあまり汎用性が高くありません。それに対し、DVDビデオならCDと同じとまではいかないものの、非常に普及しており、どこででも再生可能となっています。
ただ、「DVDビデオってビデオなんだから、映像はどうするんだ。しかも映像は非常に大きいデータ容量だから、音を入れるスペースなんてないし……」と疑問に思う方もいるでしょう。でも大丈夫。DVDビデオはとくに映像がなくても問題ありません。ほとんど容量も喰わない静止画でも入れておけば十分でしょう。そして映像に喰う容量のすべてを24bit/96kHzに費やしてやればいいのです。
ただ、DVDビデオの場合、DVDオーディオと比較して、いくつかの弱点もあります。具体的にあげれば以下の3点でしょう。
●24bit/192kHzには対応していない
●リニアPCMの場合、ステレオ2chまでしか扱えない
●音質的に粗悪なプレイヤーが多い
このうち、上の2点はあまり問題とはいえません。でも、粗悪なプレイヤーが多く、24bit/96kHzの真価を発揮できない可能性が高いということは、まあ仕方ないと諦めるほかありません。もちろん、DVDオーディオのプレイヤーならDVDビデオも再生できるので、こだわる人はDVDオーディオ対応プレイヤーを使って再生すればいいわけです。
ちなみに、このDVDビデオを使って24bit/96kHzの音楽を入れて使うという規格も存在しています。それは、2003年に日本レコード協会が発表した、DVD musicというものです。まあ、技術的な規格というよりは単なるブランドネーム付けともいえるもので、DVDビデオの規格に乗っ取ったものとなっているのです。レコード業界もCCCDなどという妙な工作をせず、クオリティーのあがるDVD musicを利用すれば、ユーザーにとってのメリットもあるし、プロテクトがかかっているので、簡単にコピーされないし、法律的にも取り締まることが可能なので、いいと思うのですが、実際にはDVD musicはまったく普及していないというか、発表当初に日本コロンビアが数点発売しただけで止まっているというのが現状です。
とはいえ、個人がこれを使って自分の作品を作るというのであれば、非常に有効な手段ということができるでしょう。
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