■音圧を上げて、曲全体に迫力を出す
コンプレッサは、ちょっと魔法のエフェクトのようですが、なぜ曲制作の最終段階にコンプレッサをかけるのでしょうか?実際に音楽作品を作った方なら経験があると思いますが、自分の作った音を聴いてみると、何かモノ足りないとか、迫力がないと感じることがあるでしょう。とくにCDにして聴いたときなど、プロの作品と比較して貧弱というか……。実際、音量レベルに違いがあることに気付く人も多いと思います。同じボリュームで音を出しても、音量が全然違うという問題が起きるのです。
これを音圧と表現していますが、普通に作っていると、音圧が低く、最大レベルが同じだとしても聴いた感じの音量が小さくなってしまいます。そこで、コンプレッサを用いて音圧を上げようというわけです。分かりやすい例として、右の波形はスネアとハイハットの音で、大きいのがスネアおよびバスドラム、小さいのがハイハットを表しています。これを見ても分かるとおり、スネアやバスドラムは最大レベルに達しているから、これ以上音量を上げるということはできません。
そこで、先ほどのリミッタと同様にスレッショルドを非常に低く抑え、レシオを1:10程度にして音を思い切り潰します。まあ、これだと単に音量が小さくなるだけなので、その後全体の音量を上げて、最大レベルを先ほどのものと揃えると、右の波形のようになります。どうですか?見た目でも迫力が出てきていますよね。これがコンプレッサの威力なのです。
コンプレッサには、このように、リズムで利用する方法もあれば、エレキギターやベースで利用する方法、そしてマスタリングで使う方法などいろいろあります。ただ、ここで紹介したのは、あくまでも触りの部分です。実際に使ってみれば分かるとおり、アタック、リリースといったパラメータもあれば、ディストーション的に利用する方法などもあります。また、先ほどの例のように極端に潰すと音質劣化するというデメリットがあることも事実です。こうした、より突っ込んだ内容については、また機会があれば紹介したいと思います。うまく使うと非常に効果のあるエフェクトなので、ぜひ有効活用してください。
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