■音色データの差し替え可能なSoundFont
では、ここでSoundFontの話しに戻しましょう。
ここまでの話で、もうすでにお分かりかと思いますが、SoundFontとはWaveTableシンセサイザの音色データに他ならないものであり、その標準的な規格ともいえるものなのです。このSoundFontを強力にサポートしたサウンドカードがSoundBlaster Live!やSoundBlaster Audigyであり、これらはSoundFontを読み込むことで、WaveTableシンセサイザに変身するのです。
よく、音源の性能を測るひとつの値として、WaveTableデータの大きさというものがあります。一般的なDTM音源の場合、従来のものだと10MB~20MB程度、最近のものだと50MB前後といった感じですが、SoundFontはとくにサイズの制限があるわけではないので、100MBや200MBといったものも存在しています。そして、Live!やAudigyならば、PCのメモリをSoundFontの読み込み用のメモリとして割り当てることができるので、ものすごいシンセサイザに変身することが可能なのです。
また、同様のサウンドカードというか、オーディオカードとしては、本家Emu-EnsoniqのAudio Production StudioやE-Cardといったものもあります。
■SoundFontには複数の音色をセットできる
このようにSoundFontはWaveTableデータと音色パラメータをセットにしたものですが、SoundFontひとつにつき1音色というわけではない。
ここが文字のフォントとの違いともいえるのですが、SoundFontには複数の音色をセットとして詰め込むことができるようになっています。単純に1番の音色にピアノ、2番にバイオリン、3番にトランペットと2つ3つを好きな順に並べることもできるし、GM音色セット、GS音色セットというように100音を超える音色を並べることも可能で、もちろんドラム音色も扱うことができます。また、MIDIにおいては扱える音色数は128までという決めがある一方、バンクというものを利用することで、「128×バンク数」分の音色データを扱うことができ、SoundFontでもこれに対応しています。