DTM・デジタルレコーディング/デジタルレコーディング基礎知識

【デジタルレコーディングの基礎知識】その2 色々あるインターフェイス

デジタルレコーディングの世界では専門用語が多くて分かりにくいという問題があります。そこで連載2回目の今回は、S/PDIF、ADAT、AES/EBUなど入出力インターフェイスの解説をしましょう。

藤本 健

執筆者:藤本 健

DTM・デジタルレコーディングガイド

デジタルレコーディング機器の仕様を見ていると必ず出てくる難しそうな端子の名前。S/PDIF、ADAT、AES/EBU……、とどうもよく分からないものばかりです。カタログを見ても詳しくは出ていないし、雑誌や書籍を探しても詳しく書かれていないのが現状です。そこで、これらの用語が何を意味しているのか、またこれらでどのようなことができるのかを解説しましょう。

■デジタル信号をそのまま送るデジタル入出力端子

レコーディングをする際、マイクやギター、音源モジュールなどと接続する必要があります。実はこの接続の際のレベル設定をどうするのか、端子にどんなものを使うのかというのはなかなか難しいものです。同じ端子でも入力レベルに-20dBとか-10dB、+4dBなどがあり複雑です。また端子の形状もRCAピン、PHONEジャック、XLRキヤノンなどがあり、覚えてしまえば簡単なのですが、どうもとっつきにくいものがあります。

ただ、これらはいずれもアナログ信号であり、そこにはアナログに対するある程度の専門知識が必要になってきます。

その一方で、デジタルの入出力端子というものも存在しています。これらはデジタル機器同士を接続するためにあるもので、やはりいくつかの規格があるのです。ただアナログ端子と違い、共通していえることは、ここには音質劣化がない、ということです。アナログの世界においては、レコーディング(ダビング)を繰り返すことによって音質が劣化していくのに対し、デジタル端子で接続した機器同士でのダビングではデジタル信号がそのままコピーされるため、音質はそのまま保持されるのです。

■CDやMDの接続でもお馴染みのS/PDIF光インターフェイス

そのデジタル端子の最もポピュラーなものがS/PDIFという端子です。CDプレーヤーとMDレコーダーを接続する光ファイバーケーブルを繋ぐ端子こそが、このS/PDIFなのです。

これはSony Philips Digital Interfaceの略であり、その名の通りソニーとフィリップスが策定したデジタルインターフェイスの規格で、オーディオの世界においても広く使われています。出力側の端子を覗いてみると分かるとおり、赤い光が出ており、この光を使ってデジタルデータ転送を行っているのです。

この端子のデータの流れる方向は単方向となっており、出力と入力を光ファイバーケーブルで接続して使い、ここで流れるのはステレオのデータとなっています。アナログの世界では通常1本のケーブルでは1チャンネルのみですが、S/PDIFでは1本で2チャンネル分のデータを転送できるのです。

S/PDIFという名称で使われているものの、非常に広く使われているため、現在は国際標準規格として定められ、IEC60958という名称にもなっています。
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