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【デジタルレコーディングの基礎知識】その2 色々あるインターフェイス(3ページ目)

デジタルレコーディングの世界では専門用語が多くて分かりにくいという問題があります。そこで連載2回目の今回は、S/PDIF、ADAT、AES/EBUなど入出力インターフェイスの解説をしましょう。

藤本 健

執筆者:藤本 健

DTM・デジタルレコーディングガイド

■ADATは8チャンネルのデジタルインターフェイス

さて、デジタルインターフェイスとしてもうひとつ大切なのがADATインターフェイスです。ご存知の方もいると思いますが、業務用のレコーディング機材としてアレシス社のadatというS-VHSを利用した8トラックのデジタルレコーダーがあります。このADATインターフェイスはこのadat用の接続規格であり、S/PDIFと同じ光ファイバーケーブルを使って接続するようになっています。

ところがすごいことに、ADATインターフェイスでは1本で8チャンネル分のデータを同時に転送することが可能なのです。もちろんデジタルデータですから音質劣化の心配もありませんし、光を使っているので電磁波などによるノイズの影響の心配もありません。

この8チャンネルの転送ができるという便利さと、adatの普及により、ADATインターフェイス自体がadatとは別に、デジタルインターフェイスの規格として普及してきています。実際、数多くのデジタルレコーディング機器、コルグの1212I/Oをはじめとするオーディオカードにも搭載されており、adatなしに直接これらの機材を接続して8チャンネルのデジタル音声信号のやり取りが可能となっています。

■今後が注目されるIEEE1394

S/PDIF、AES/EBU、ADAT以外にもTascamのTDIF-1やSDIF-2などいくつかの独自仕様のインターフェイスが存在し、規格によってコネクタや送れるチャンネル数が異なります。

またあまり普及はしていませんが、SSL、ソニー、三菱、ニーヴの4社が策定したMADI(マルチチャンネル・オーディオ・デジタル・インターフェイス)といったものもあり、こちらはFDDIという高速LANで利用するケーブルを用いるため、最大56チャンネルまで同時に流すことが可能です。

そして、今、注目を集めはじめているのがヤマハが中心となって進めているmLANという規格。正確にはヤマハが中心となり、アップルコンピュータ、ケンウッド、シャープ、ソニー、東芝、パイオニア、日本ビクター、松下電器、ローランド、マイクロソフトをはじめとする各社が「オーディオおよび音楽データ転送に関する仕様(Specification for Audio and Music Data Transmission)」としてまとめ、ヤマハがmLANという名称でいくつかの製品をリリースしているものです。

実はこれ、IEEE1394=FireWireを用いたシステムであり、そのIEEE1394のケーブル上にMIDIやデジタル化されたオーディオデータを流してしまうものなのです。接続状況にもよりますが、オーディオデータの場合44.1kHzはもちろん、最高128kHzというとんでもないサンプリングレートにしても理論的に256チャンネル以上流せたり、同じケーブル上に256本までのMIDIケーブルを仮想的に存在させることが可能になるものです。

ただ、まだ機材があまりそろっていないことと、各社間での互換性の問題などがあるため、広く普及するまでには、まだまだ時間がかかりそうです。

【デジタルレコーディングの基礎知識】その1
サンプリングって何だ?

【デジタルレコーディングの基礎知識】その3
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