一方、時間のほうはというと、こちらもより細かく分割していくことにより、精度を上げることができます。もし1秒ごとに音量を測定していたのでは、ほとんど無意味ですが、1/1000秒、1/10000秒、1/1000000秒とより細かくしていくことにより、音声を波形として捉えることができるようになってくるのです。
このように細かい単位時間での音量を測定し、記録していくことがサンプリングなのです。その結果、右図のようなギザギザな形ではありますが、波形をデジタルとして捉えることができるのです。
音量、時間ともサンプリング精度をさらに細かくしていけば、より元の波形に近いものを記録することができ、これを反対に時間に従って記録した通りの音量を出していけば元の音声を再現することができるというわけなのです。
ちなみに、楽器のサンプラーとはまさにサンプリングをする機材なのですが、サンプラーに限らず、デジタルレコーディングを行うものはすべてサンプリングが基本となっているのです。
■サンプリングビット数
さて、先ほど0~255とか0~65535などに分解して音量を測定するという話をしましたが、この数字は何を意味しているのでしょうか?
実はこれがサンプリングビット数というものと直結しているのです。
2進法を勉強したことがある方ならお分かりだと思いますが、011010……という2進法において8ケタでは0~255までの数字を、16ケタならば65535までの数字を扱うことができるようになっています。コンピュータではこの2進法のケタのことをビットと呼んでおり、音量を測定する装置が8ビットなのか、16ビットなのか、さらには24ビットなのかによって、その精度が大きく異なってくるのです。
この音量を測定し、デジタル化する装置のことをA/Dコンバータと呼んでいます。A/Dとは単純にAnalog/Digitalの略であり、アナログをデジタルに変換する装置ということなのです。反対にデジタル化されたデータを音声に直す装置がD/Aコンバータです。
さきほどの数値からも分かるように8ビットと16ビットを比較すると256倍の精度となり、16ビットと24ビットを比較すればさらに256倍の精度となります。
CDやMDなど、われわれがよく利用するデジタルオーディオ機材では16ビットが用いられており、あのサウンドこそが16bitでサンプリングしたものなのです。