MIDIと異なり、ボーカルをはじめとする生の音声を扱うことができるデジタルレコーディングの世界。その仕組みなど知らなくてもレコーディングはできますが、やはり知っておけばもっと使いこなすことができるようになるでしょう。そこで、まずはデジタルレコーディングがどのような仕組みで行われるのかを探ってみましょう。
■アナログをデジタルへ変換するサンプリング技術
人間の耳に聞こえる音はすべてアナログの音声です。人の声はもちろんのこと、足音、扉を閉める音、ピアノやギターの音、そしてシンセサイザをはじめとするデジタル楽器の音だって耳に入る時点ではアナログな音声となっているのです。
みなさんご存じのように、これらの音はマイクを利用してテープレコーダーに録音することができます。一般のテープレコーダーはアナログ式ですので、マイクを使ってアナログの電気信号へ変換したものを、そのまま磁気テープへと保存しているのです。
では、デジタルレコーディングというのはどんな仕組みになっているのでしょうか?
デジタル情報というのは0と1のふたつの値で表されるデータの集合体ですから、デジタルレコーディングするためには、音声をなんらかの方法で0と1へと変換していなくてはならないのです。そのために用いられる技術がサンプリングと呼ばれるものなのです。日本語でいうと“標本化”ですが、通常はサンプリングと呼んでいます。
このサンプリングは音を「音量=ボリューム」と「時間」のふたつの単位にわけ、非常に細かく数値化していく技術です。右の図を見てください。これは音声の音量が時間に従ってどのように変化していくかを表したグラフです。
このグラフをデジタル化していくのがサンプリングであるわけなのですが、まず音量については、ある瞬間でいくつになっているかを測ります。精度の低いものであれば0~255、高いものになれば0~65535、さらには0~1677万という細かさでそのときの値を測ることができます。
ただし、デジタルであるため、測った結果はあくまでも整数。小数以下を扱うことはできません。したがって精度を上げれば上げるだけ、より厳密に音量を測定することができるわけです。