■より感覚的にミキシング作業ができるフィジカルコントローラ
では、どうしたらうまくミキシング作業ができるのでしょうか?
そこで登場してくるのがフィジカルコントローラと呼ばれるものです。日本語でいえば物理的制御装置ということになるのでしょうか、つまり画面上ではなく、実際に触って動かすフェーダーのコントローラなのです。
見た目には、まさにミキサーなのですが、これ本体にはミキサーとしての機能は持っておらず、あくまでもリモコンなのです。しかし、マウスと違い、フィジカルコントローラの場合、両手を使い、複数のフェーダーを同時に動かすこともできるので、より感覚的にミキシング作業が可能になります。また、単にボリュームのレベル調整だけでなく、イコライザやパン、エフェクトへのセンドレベルの設定などもできるので、かなり高度な作業までもできるようになるのです。
もちろん、こうした設定の状態はすべてシーケンスソフト側に送られ、その処理はすべてそのシーケンスソフトで行われるわけです。
実は、このようなフィジカルコントローラを用いた作業は、プロのレコーディング現場でも行われています。というよりも、最近のミキシング作業のほとんどは、大きなミキシングコンソールを用いるほうが稀になりつつあり、多くはシーケンスソフト+フィジカルコントローラで行われているのです。またこうした、フィジカルコントローラには、レコーディングボタンや再生ボタン、早送り・巻き戻しボタンなどが用意されているほか、クルクルまわすロケーションコントローラなども用意されているので、シーケンスソフトのほとんどのコントロールがこれひとつでできるようになっているのです。
またプロ用のフィジカルコントローラでも、大きさ的にはそれほど大きくなく、たいていは16ch程度のものとなっています。ただし、価格的には数十万円から高いものでは百万円ちかいものまであり、ちょっとアマチュアユーザーには手が出せないというのが難点です。