でも、なんでこんな面倒な方法を打ち込み屋は好むのでしょうか? また、これで本当に効率よく入力できるのでしょうか?
筆者自身も、以前はレコンポーザにはかなりお世話になったし、それでいろいろな曲の入力をしていましたが、確かにこれはかなり効率的に、しかも正確な入力ができるんです。先ほどは、すべての数値を表示させましたが、別にこれらをすべて入力する必要はありません。前と同じ数字は省略することができるし、ファンクションキーやショートカットキーを利用することで、すばやく入力することができます。
もちろん、スピードの面でリアルタイムレコーディングにはかないませんが、ほかの譜面入力やステップレコーディングなどと比較すれば断然速いスピードで入力が可能なのです。
もうひとつの疑問は、なぜDOSで行っているかでしょう。これは、人それぞれの好みというところであり、実際Windows版のレコンポーザである「レコンポーザ for Windows95」というものが発売されましたが、彼らはこれを用いずにDOSを使っているわけです。やはり使い慣れた環境が好きということなのでしょう。
ただ、Windowsの標準のMIDIドライバではmsec以下の正確なタイミングでの演奏ができないためDOSが好まれたという事実もあります。
では、この数値入力は、現在の製品から淘汰されてしまったかというと、そうではないのです。次々と新しいバージョンを発売しているインターネット社の「Singer Song Writer」には、レコンポーザと同様の考え方の数値入力方式が搭載されており、これで利用することも可能です。
もっとも、この入力方式は今後も一部のユーザーのみが使うものとなってしまいそうですが、効率いい入力ができることは確かですし、MIDIシーケンサの動きを理解する上でも、シンセサイザの仕組みを理解する上でも役立つものです。そして、とくに楽器の弾けないユーザーにとっては強力な味方となってくれるものですから、何かの機会に使ってみてはいかがでしょうか?
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