■プロ用音源のXV系となったSD-90のMIDIサウンド
ここからは、MIDI音源部分について見ていきましょう。まず最初に気になるのはSD-90とSC-8850を比べてどうなのかということでしょう。
まずスペックだけを比較すると、SC-8850は音色数1640、64パート、128音ポリであるのに対し、SD-90は音色数1024(GM2×4)、32パート、128音ポリとなっています。これを見ると、どう見てもスペックダウンといえます。では、SD-90はSC-8850の下に位置付けられる音源なのかというと、そうではないのです。なぜならSD-90の持っている音色がSC-8850の1ランク上のものに位置付けられるからです。
DTMユーザーにはやや馴染みが薄いのですが、ローランドが出しているプロ用音源があります。SC-8850はJV系といわれる音源のエンジン、音色を採用していたのですが、SD-90ではXV系のものを採用しているのです。XVはJVの後継であり、当然性能を大幅に向上させています。
具体的にいえば、これらに採用されているサンプリングデータのサンプリングレート大きく上がっているのです。JV系が32kHzでサンプリングされていたのに対し、XV系では44.1kHzでサンプリングされていますから、当然音質は向上します。
また、サンプリングレートが上がった分、高音がでるようになり、ダイナミックレンジが広がります。実際に音を聞いてみると、確かに広がり、奥行きのあるリッチなサウンドになっていることが確認できます。
とはいえ、音色数やパート数が少なくなっているのは確か。そもそも1640音色もあって、使いこなせるのかという問題もなくはないですが、やはり気分的には多いほうがうれしいものです。同様にパート数もオーケストラサウンドなどを扱うのであれば、32よりも64がいいに決まっています。
ただし、この辺は考え方次第。オーケストラデータなどを扱わない限りは32パート以上を扱うことは少ないでしょうし、最大同時発音数は同じ128音なのであまり気にすることはないのかもしれません。
またSD-90で強化されている機能としては、音色のほかにエフェクトもあげられます。MIDI音源部のエフェクトとしてMFXというものを3系統装備しており、システムエフェクトであるイコライザ、リバーブ、コーラスとはまったく独立して利用することができるのです。
これはSC-8850でいうところのインサーション・エフェクトであり、そのバリエーションは90種類。かなり使えるものがいろいろと揃っています。
なお、このエフェクトを含め、音源部をコントロールするためのユーティリティソフトが添付されており(初期ロットには添付されておらず、登録はがきを送ると郵送される)、これでSD-90の機能を存分に引き出すことが可能です。