R-BUSは、突然登場したものではありません。実は2年近く前から存在していたローランド独自のデジタル・オーディオのためのインターフェイスです。すでにデジタルミキサーであるVM-3100ProやVM-7200、VM-7100またデジタルレコーダーであるVSR-880、さらにはシンセサイザ・モジュールであるXV-5080……とローランドのハイエンド製品にR-BUSというものが実装されていたのです。さらにこの度VS-2480というVSシリーズの最上位モデルも発表され、ここにもR-BUSが2系統搭載されいました。
このR-BUSは25ピンD-subの端子で、24ビット/8チャンネルのデジタル・オーディオ入出力を実現するというものです。サンプリングレート的には44.1~96kHzまで扱え、これらオーディオ・データに加えて、タイムコードやコントロール情報も同時に通せるというものです。
ただ、こういうスペックを聞くとadatやTDIFさらにはIEEE1394を用いたmLANと競合するようにも思えます。事実、ある意味では競合するものなのですが、この規格自体はローランド製品のみで使うことが前提となっており、他社に広がる可能性はありません。また、R-BUSをadatやTDIFに変換するインターフェイスなども出ているので、共存するものともいえそうです。
そんなR-BUSですが、これまでコンピュータ側とのやり取りはできませんでした。つまりXV-5080のサウンドをVSR-880でダイレクトにレコーディングするといった使い方しかなかったわけですが、今回発表されたRPC-1によりコンピュータでアクセスできるようになったのです。WindowsやMac側から見ると、8イン8アウトのオーディオインターフェイスであり、MTCやMMCも扱えるというものです。
当然ASIO1.0/2.0ドライバも扱えるほか、WindowsのMME、MacのSoundManagerのドライバも用意されています。したがって、R-BUS端子を持ったデバイスをCubaseVSTやLogicAudioなどを用いて直接コントロールできるようになったのです。
またRPC-1の発売と同時か、その数週間後にはRoland STUDIO PACKというセット商品が130,000~140,000円程度で発売される見通しです。これはRPC-1とVM3100ProそしてLogic Audio Silver(多少カスタマイズされたもの)がセットとなったものなのです。この辺が登場してくると、R-BUSに注目が集まる可能性も出てきます。
adat装備のインターフェイスもかなり廉価になってきている中、競合することにはなりそうですが、R-BUSについては、今後チェックしておく価値はありそうです。
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