歌舞伎/歌舞伎関連情報

『伽羅先代萩』その3(2ページ目)

4月歌舞伎座の演目から、『伽羅先代萩』のあらすじとみどころを独断と偏見でご案内いたします。

執筆者:五十川 晶子

そして、なんといっても鼠の妖術使いの仁木弾正の登場だ。御家騒動をもたらしたその実行犯的な存在。花道のスッポンから怪しい煙と共に登場する。スッポンから登場するのは、狐とか鼠とかこういう怪しい存在だという典型だ。
暗闇の中からどろどろという鳴り物が響き、ぬっと現れるその横顔だから、凄みのある造作が望ましい。かつて、近代の名優・五代目尾上菊五郎は、六代目誕生のそのとき、「仁木のできる顔か」どうかを気にしたというエピソードも残っている。

最後に、問注所、つまりお白洲に善玉と悪玉が分かれて並び、大沙綾型(おおさやがた)の襖がいやでも目に入る。濃紺と銀色が卍を崩したような模様になっている独特のものだ。この派手な襖を背負って勝元が弁舌さわやかに悪を見顕すのだ。
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます