さらに昭和に入り、歌舞伎の『元禄忠臣蔵』でもおなじみの真山青果作品や、花柳界を描いた作品、『明治一代女』や、北条秀司の作品など新しい演目も登場し、また花柳章太郎や水谷八重子という新派を代表する役者たちが登場しました。現在の水谷八重子はその娘、2代目水谷八重子となります。そして新派俳優として活躍中の波乃久里子さんは中村勘三郎さんの娘でもあります。
ものすごく大つかみに言えば、歌舞伎が主に江戸時代以前の時代を扱うのに対し、新派は明治以降、近代日本の女性たちの人生を描く作品が多いようです。歌舞伎の時代物とは大きく違いますし、江戸時代や庶民の生活を描いた世話物ともまた違います。
近代日本人の情緒、風俗や生活、価値観を描く新派作品。
そう。何よりも歌舞伎と大きく異なるのは、女優が大活躍する、ということです。そして同時に、女形も活躍するんですね。
新派の後に台頭してくるいわゆる新劇と呼ばれるリアリズムな芝居ともまた一味もふた味も違う、まさに近代を舞台としながらもその独特の演技様式は、もはや歌舞伎に次いで”伝統演劇”といえそうなジャンルになっています。
その新派公演には、たびたび歌舞伎役者が出演するんですね。だからこれまた見逃せません。